完璧主義って、「ちゃんとやりたい」気持ちの裏返しなので、簡単に手放せないですよね。けれど仕事では、100点を狙うほど時間も神経も削られ、結果として疲労・先延ばし・自己否定が増えてしまうことがあります。ここでは“手を抜く”のではなく、8割で十分に価値が届く形に設計する仕事術をまとめます。仕組みで支えれば、気持ちが揺れる日でも安定して前に進めます。
- 完璧主義がつらくなるのは、あなたが弱いからじゃない
- 「8割でいい」は甘えじゃなく、仕事の現実に合った戦い方
- 8割にするための前提は「8割の定義」を持つこと
- 完璧主義を卒業する仕事術 1:まず「合格ライン」を先に決める
- 仕事術 2:「8割チェックリスト」を固定して迷いを減らす
- 仕事術 3:時間で区切る「タイムボックス」で完成度を守る
- 仕事術 4:初稿は「読まれ方」を優先し、完成度は後で上げる
- 仕事術 5:「最小の完成形」を作ってから広げる
- 仕事術 6:フィードバックを前提に「余白」を書く
- 仕事術 7:人に見せるのを早くする「30%レビュー」
- 仕事術 8:完璧主義の根っこにある「評価不安」を扱う
- 仕事術 9:完璧主義が暴れやすい場面を先に知っておく
- 仕事術 10:仕事の種類ごとに「8割テンプレ」を持つ
- 仕事術 11:「直し続ける」を止めるための“終了ルール”
- 仕事術 12:8割で安定する人が必ずやっている「翌日の自分のための置き方」
- 8割で信頼を落とさないための、上手な伝え方
- それでも「8割が怖い日」のための小さな回復策
- まとめ:完璧主義を手放すほど、仕事は前に進む
完璧主義がつらくなるのは、あなたが弱いからじゃない
完璧主義のしんどさは、能力の問題というより「脳の使い方」が偏ることで起きやすいです。たとえばこんな状態になっていませんか。
- 80点までできているのに、残り20点が気になって提出できない
- 直すほど良くなるのに、どこまで直せばいいか分からず終われない
- 誰かの目が気になって、最初の一歩が重くなる
- ミスが怖くて確認し続け、時間だけが減っていく
- 結果として遅れ、焦り、さらに完璧を求めて詰む
ここで大事なのは、完璧主義は「真面目さ」だけではなく、不確実さ(相手の反応・評価・未来)に耐える負荷とも結びついている点です。だから「気にしないで」と言われても無理があります。必要なのは、根性ではなく終わらせ方の設計です。
「8割でいい」は甘えじゃなく、仕事の現実に合った戦い方
8割で止めるのは妥協ではありません。仕事の価値は、しばしば次の式に近いからです。
- 価値 =(完成度)×(提出の速さ)×(相手に届く分かりやすさ)
完成度を100に近づけても、提出が遅れてタイミングを逃すと価値は落ちます。逆に、80点でも早く出せば、フィードバックで改善でき、最終的に100点を超えることもあります。
そして多くの仕事は、**「最初の提出物」ではなく「改善のループ」**で品質が上がります。完璧主義が苦しい人は、このループの入口(最初の提出)で止まりやすい。だから狙うのは「最初から完璧」ではなく、改善が回る8割です。
8割にするための前提は「8割の定義」を持つこと
「8割で出していい」と言われても、完璧主義の人ほどこう思います。
- その8割って、どこまで?
- 出して怒られない?
- 手戻りが増えない?
- 恥ずかしくない?
ここを曖昧にしたまま“気持ち”で8割を選ぶのは難しいです。なので先に、8割を構造化します。
8割の定義は、だいたい次の3点で作れます。
- 目的が満たされている(何のための成果物かが達成される)
- 致命的な欠陥がない(誤解・事故・炎上・法務/仕様NGなどは潰してある)
- 改善の余地が見える形(残り2割が「次に直せる」状態で残っている)
これが揃えば、8割は“雑”ではなく、“運用できる品質”になります。
完璧主義を卒業する仕事術 1:まず「合格ライン」を先に決める
完璧主義の最大の敵は、作業中に合格ラインが上がっていくことです。だから順番を逆にします。作る前に合格ラインを決める。
おすすめは、提出物に「合格条件」を3行で書くことです。
- 目的:これで誰が何を判断できる状態にする
- 必須:絶対に入れる要素(3〜5個)
- 除外:今回はやらないこと(2〜3個)
例(企画メモの場合)
- 目的:関係者が「やる/やらない」と「次の検討」を決められる
- 必須:背景、課題、提案、影響範囲、次のアクション
- 除外:詳細UI、工数見積もり、全ケース網羅
「除外」を書くのがポイントです。除外があると、完璧主義の脳が勝手に広げるのを止めやすくなります。
仕事術 2:「8割チェックリスト」を固定して迷いを減らす
終わらない原因は、毎回“確認観点”が増えることです。なので、あなた専用の固定チェックを作ります。内容はシンプルでOK。
8割チェック(例)
- 読む人は誰か、冒頭に書いた
- 結論は最初にある
- 数字・固有名詞・日付の誤りがない
- 誤解されやすい言い回しを避けた
- 次に誰が何をするかが明確
- できていない所は「TODO」ではなく「次の改善」として書いた
このチェックを毎回同じ順で回すと、頭の中の不安が減って「提出」ができるようになります。完璧を目指すのではなく、合格確認の儀式を作る感覚です。
仕事術 3:時間で区切る「タイムボックス」で完成度を守る
完璧主義は、時間を無限に使えるときに暴れます。だから、完成度ではなく時間で締め切る。
- 企画メモ:60分で8割
- スライド:90分で初稿
- 文章:45分で骨子、45分で肉付け
- 実装:2時間でプロト、残りで磨く
ポイントは「最初から短くしすぎない」こと。短すぎると焦って逆効果です。まずは“少し余裕のある制限”で始め、慣れたら削ります。
タイムボックスの価値は、時間を節約すること以上に、終わりの感覚を脳に覚えさせることです。
仕事術 4:初稿は「読まれ方」を優先し、完成度は後で上げる
完璧主義の人は、初稿の段階で細部を整えがちです。でも、相手は初稿を「完成品」として読むとは限りません。多くの仕事は、初稿で見られるのはここだけです。
- 目的は何か
- 結論は何か
- なぜそう言えるのか
- 何を決めてほしいのか
- 次に何が必要か
つまり初稿は、精密さより伝わり方です。
「正しい文章」より「迷子にならない構造」。
「綺麗な資料」より「意思決定できる要点」。
ここを押さえると、8割でも十分に仕事として成立します。
仕事術 5:「最小の完成形」を作ってから広げる
完璧主義が苦しいのは、最初から“完成形”を広く作ろうとするからです。おすすめは 最小の完成形(MVP) をまず作ること。
例:報告資料なら
- 1枚目:結論(現状/課題/提案/依頼)
- 2枚目:根拠(数字・事実・前提)
これだけ先に作り、提出できる状態にします。
残りは「補足」として足していく。そうすると、途中で止まっても“仕事として成立する核”が残ります。
仕事術 6:フィードバックを前提に「余白」を書く
完璧主義の人は、突っ込まれるのが怖くて“穴”を消そうとします。でも実際には、穴をゼロにするより、穴の場所を自分で示すほうが強いです。
- 「ここは仮置きです」
- 「次の検討で詰めたい論点です」
- 「前提が変わると影響します」
こういう一文は、弱さではなく運用の強さです。余白を言語化できると、相手も「今決める/後で決める」を分けて見てくれます。あなたの緊張も下がります。
仕事術 7:人に見せるのを早くする「30%レビュー」
8割が出せない人は、8割の前に“見せる経験”が少ないことが多いです。なので、8割の前に 30% を見せます。
- 骨子だけ
- 見出しだけ
- 結論だけ
- 画面遷移だけ
- 主要テーブルだけ
早い段階で「方向性OK」をもらうと、完璧主義のエネルギーが“正しい方向”に使われます。逆に、最後まで一人で抱えると、間違った方向に完璧を積むリスクが上がります。
仕事術 8:完璧主義の根っこにある「評価不安」を扱う
完璧主義を支えているのが、「失敗したらどう思われるか」という不安のことがあります。これが強いと、作業の質より“安全”が優先されます。
ここで有効なのは、評価をゼロにするのではなく、評価のサイズを戻すことです。
- 一度の本番で、全部が決まるわけじゃない
- 一回のミスが、すべての信用を消すわけじゃない
- 失敗より、無言・遅延・抱え込みの方が影響が大きいこともある
そして実務的には、「評価が怖い」を減らす最短は 事前共有 です。
「現時点の叩き台です」
「この前提で一度出します」
「ここは未確定です」
この一言で、提出物の期待値が整い、評価の怖さが下がります。
仕事術 9:完璧主義が暴れやすい場面を先に知っておく
完璧主義は、特定の条件で強くなります。たとえば。
- 相手が強そう(役職が上、レビューが厳しい)
- 影響範囲が大きい
- 正解がない(企画、戦略、デザイン)
- 過去に指摘されたトラウマがある
- 期限が近いのに仕様が揺れている
こういう場面では「完成度を上げる」より先に、合格ラインを狭めるのが効きます。
必須を3つにし、除外を増やす。レビューを早める。時間を区切る。
“いつも通り”で戦わず、条件に合わせて戦い方を変える感じです。
仕事術 10:仕事の種類ごとに「8割テンプレ」を持つ
完璧主義を卒業する一番の近道は、毎回ゼロから考えないことです。成果物の型を固定すると、迷いが減ります。
メール・Slack(報連相)の8割テンプレ
- 結論:○○します/○○でした
- 背景:前提・状況
- 依頼:確認してほしい点(期限つき)
- 次:こちらの次アクション
企画・提案の8割テンプレ
- 背景(なぜ今)
- 課題(何が困ってる)
- 提案(何をする)
- 影響(誰にどう効く)
- リスク(懸念と対策)
- 次(意思決定・検討事項)
会議資料の8割テンプレ
- 今日決めたいこと(1行)
- 選択肢(2〜3)
- 判断材料(比較表)
- 決まったら何が進むか
型があると、8割でも“ちゃんとして見える”ようになります。これはズルではなく、仕事の基本です。
仕事術 11:「直し続ける」を止めるための“終了ルール”
完璧主義の人は、改善点が見えるほど直し続けます。そこで、終了ルールを作ります。
例:
- 誤字・数字・固有名詞チェックが終わったら提出
- 8割チェックリストを全部◯にしたら提出
- 制限時間が来たら提出(残りは次の改善へ)
- 直しは3回まで(4回目は削除)
ルールは冷たく見えて、実はあなたを守ります。「終わらせる力」は、優しさの設計でもあります。
仕事術 12:8割で安定する人が必ずやっている「翌日の自分のための置き方」
8割で出すと、気になる部分が残ることがあります。完璧主義の人はそこから反芻に入って疲れやすい。なので、提出した後に**“保管”の儀式**を入れます。
- 気になる点を3つだけメモ
- 次に直す順番を1行で書く
- それ以上は考えない(考えるなら明日の朝)
「考えない」は難しいので、「考える場所と時間」を決める方がうまくいきます。これだけで、夜の消耗が減ります。
8割で信頼を落とさないための、上手な伝え方
8割で出すときに大事なのは、相手が不安にならないことです。ポイントは「未確定を隠さない」ことと「次の一手を示す」こと。
使いやすい言い回しを置いておきます。
- 「現時点の叩き台です。方向性の確認をお願いします」
- 「ここは前提が動くので、まずはA案で仮置きします」
- 「細部は次のレビューまでに詰めます。今日は結論の合意が目的です」
- 「この2点が未確定です。どちらを優先して決めますか」
8割で出すのは、相手に丸投げすることではありません。運用のハンドルを渡すことです。次の一手が見えていると、相手は安心します。
それでも「8割が怖い日」のための小さな回復策
どれだけ仕組みを作っても、怖い日はあります。そのときは、完璧主義を叱るより、次の小さな工夫が効きます。
- まず「提出ボタンを押す前に、吐く呼吸を3回」
- 送信先を入れずに下書き保存→5分後に送る
- 信頼できる人に「これ8割で出していい?」と1分相談
- 自分の中の合格ラインを“3つだけ”書き直す
怖い日は、能力が落ちているのではなく、警戒が強い日です。警戒を下げる操作を先にします。
まとめ:完璧主義を手放すほど、仕事は前に進む
完璧主義は、あなたの真面目さの証拠でもあります。でも仕事では、100点を狙うほど遅れ・疲れ・反芻が増え、結果的に不安定になりがちです。8割で安定するために必要なのは、気合いではなく「終わらせ方の設計」です。
- 作る前に合格ライン(必須・除外)を決める
- 8割チェックを固定する
- タイムボックスで終わりを作る
- 最小の完成形→補足で広げる
- 余白を言語化して運用する
- 30%で早めに見せる
- 終了ルールと保管の儀式で反芻を止める
まずはこの中から、**「合格ライン3行」か「8割チェックリスト」**のどちらか1つだけ作ってみてください。8割で終われる回数が増えるほど、メンタルは静かに安定していきます。

