ToDoが増えるほど、なぜか動けなくなる。終わらない仕事が頭に残り、休んでいても「まだやってない」が追いかけてくる。そんなとき役に立つのが、やることを増やす代わりに「やったこと(ToDone)」だけを書く方法です。ToDoneは、予定を管理する道具というより、脳の不安を落ち着かせる“証拠集め”に近いもの。小さな前進を見える形にして、自己否定と焦りのループをほどきます。この記事では、ToDoneが効く理由、続けやすい書き方、仕事・家事・メンタルが揺れる日の使い方、挫折しやすいポイントの対策まで、現実に即してまとめます。今日から「増やさない管理」で、回る感覚を取り戻すために。
- ToDoが増えるほど、心がすり減るのは普通のこと
- ToDoneは「やったこと」だけを書く。だから回復する
- ToDoneの基本ルールは「小さく・雑に・続ける」
- 書く場所はどこがいい?続く形にするコツ
- うまくいく人がやっている「ToDoneの粒度」調整
- 「今日は何もできなかった日」にこそ効く使い方
- 仕事で使うToDone:評価されにくい仕事ほど残す
- 家事・生活で使うToDone:終わりがないものに効く
- ToDoneが続かない人の典型パターンと、現実的な対策
- ToDoを増やさないための「3つだけルール」
- ToDoneを“メンタルの安全装置”にする運用
- 週1回だけでいい「ToDone振り返り」のやり方
- 仕事が忙しい人向け:ToDoneを「説明責任」に変える
- それでも焦りが消えないときの、ToDoneの使い方
- ToDoneを続けるための、現実的なミニテンプレ
- おわりに:増やさないほうが、回ることがある
ToDoが増えるほど、心がすり減るのは普通のこと
ToDoリストが役に立つ日もあります。やるべきことが明確で、期限も見えていて、体力と時間に余白があるとき。そういう日は、ToDoが地図になってくれます。
でも現実は、だいたいその逆です。
- 予定外の割り込みがある
- タスクの粒度がバラバラ(大きい仕事と細かい雑務が混ざる)
- 締切が曖昧、または複数
- 体力・気力が一定じゃない
- 誰かの返事待ちで止まる
- 途中で仕様が変わる
- やること自体が増えていく
この状態でToDoを“真面目に”運用しようとすると、リストが「手助け」ではなく「責める道具」に変わりやすい。
チェックが付かない項目が増える
→ 終わってない事実が可視化される
→ 罪悪感が増える
→ さらにリストを整備する
→ しかし現実は変わらない
→ 罪悪感が増える
ToDoが悪いわけじゃない。「終わってないものを並べ続ける方式」が、今の自分の心身の状態に合っていないだけなんです。
そこで発想をひっくり返します。
ToDoneは「やったこと」だけを書く。だから回復する
ToDone(トゥードゥン)は、文字通り「やったことリスト」です。
ToDoと違って、未来の約束を書かない。過去の事実だけを書きます。
これがメンタルに効く理由はシンプルです。
1) 脳は「未完了」を強く記憶する
人は終わっていないことほど気になります。
心理学でよく知られる現象(未完了のほうが記憶に残る)として説明されることもありますが、体感としてもわかりやすいはずです。
終わったことは忘れる。
終わってないことは、脳が見張り続ける。
ToDoneは、終わったことを“あえて記録して”、脳に「もう見張らなくていい」と知らせます。
2) 自己評価の材料が、足りなさから前進に変わる
ToDo中心だと、評価軸がこうなりがちです。
- できてない
- 遅れてる
- 足りない
- もっとやらなきゃ
ToDone中心だと、評価軸がこう変わります。
- ここまで進んだ
- 意外とやってる
- 現実の中で回した
- 次に必要なのはこれ
結果として、気持ちが落ち着いて、次の一手が出やすくなります。
3) 「頑張ったのに報われない感」を減らす
現実には、やったのに成果が見えない日が多いです。
- 調整した
- 返信した
- 直した
- 片づけた
- 伝えた
- 待った
- 迷った末に決めた
こういう行動は、ToDo上だと「消える」ことが多い。
だから、「今日何もできなかった」になりやすい。
ToDoneは、こういう“見えにくい仕事”をちゃんと残せます。
それだけで、報われなさが少し和らぎます。
ToDoneの基本ルールは「小さく・雑に・続ける」
ToDoneは丁寧さより継続が効きます。
ルールは3つだけで十分です。
1) 1行1アクションで書く
- 返信した
- 洗濯機回した
- 資料を開いた
- 5分だけ見直した
- ゴミをまとめた
このレベルでOK。
「成果」じゃなく「行動」の記録です。
2) 時系列で並べる(重要)
ToDoのように並び替えない。
時系列は、現実の流れをそのまま残します。
「割り込みだらけだった」
「午前は頭が動かなかった」
「夕方から乗った」
そういう“その日のコンディション”も含めて残るから、振り返りに使える。
3) 1日の終わりに“まとめ”を書かない
反省会を始めやすい人ほど、「まとめ」が罠になります。
- 結局これができなかった
- もっとできたはず
- だめだった
ToDoneは、まとめないほうが効く。
必要なら、最後に一行だけ。
- 明日の最初は「A」から
- 今日はここまでで十分
それだけで充分です。
書く場所はどこがいい?続く形にするコツ
ToDoneは、フォーマットより「開きやすさ」が大事です。
スマホのメモアプリ(最強)
- すぐ開ける
- 検索できる
- 1行追記が楽
おすすめは「日付+箇条書き」だけの最小構成。
例:
- 12/25
- 9:10 返信(A社)
- 9:30 仕様確認メモ
- 10:05 皿洗い
- 10:20 5分だけ資料を開く
- 11:00 送付
- 13:10 休憩
- 14:00 30分作業
- 15:40 依頼の条件確認
ノート(書くことで落ち着く人向け)
手を動かすと不安が減るタイプなら紙も強い。
ただし、持ち歩かないと空白が増えがちなので、家と外の導線に注意。
PCのテキスト(仕事用ログと相性がいい)
エンジニア・PjM系の人は、日報や作業ログとして相性がいい。
「やったことの証拠」がそのまま説明責任にもなる。
うまくいく人がやっている「ToDoneの粒度」調整
ToDoneでつまずく最大の原因は、粒度が合ってないことです。
粒度が大きすぎると、書けない
- PRD作成
- 企画整理
- 家事を全部
- 運動する
これだと、着手しても「まだ終わってない」になって書けません。
分割して、途中でも書ける形にします。
- PRDの目次だけ書いた
- 前提条件を箇条書きした
- 5分だけ洗い物した
- ストレッチを1分だけした
ToDoneは“途中を肯定する”ためにあるので、途中で書ける形が勝ちです。
粒度が小さすぎると、逆に疲れる
- ペンを持った
- 立ち上がった
- 画面を見た
ここまで細かいと、記録が目的になりがち。
目安は「後から見て、何をした日かわかる」くらい。
小さくしていいけど、意味は残す。
「今日は何もできなかった日」にこそ効く使い方
ToDoneが最も効くのは、実は“だめだった日”です。
だめな日のToDoneは、救急箱みたいに使う
だめな日は、達成の記録ではなく「生存の記録」になります。
- 起きた
- 顔洗った
- 水飲んだ
- 連絡一本だけ返した
- 外に出て空気吸った
- 10分横になった
- 風呂入った
それでいい。
むしろそれが、今のあなたに必要な記録です。
“ちゃんとできなかった”を強化するより、
“最低限を回した”を残すほうが、次の日の回復が早くなる。
仕事で使うToDone:評価されにくい仕事ほど残す
仕事のToDoneは、単なる自己管理以上の価値があります。
特に「調整」「確認」「伝達」「待ち」など、成果が見えにくい仕事。
見えにくい仕事の例
- 仕様の矛盾を見つけた
- 認識合わせをした
- 論点を整理した
- 未決事項を洗い出した
- 依頼の条件を聞き返した
- 事故りそうなポイントを先に潰した
- “今は決めない”判断をした
- 関係者に説明した
- 返事待ちを管理した
こういうのは、ToDoだと「雑務」になりやすい。
でも実際は、プロジェクトを前に進めるための要の行動です。
ToDoneに残しておくと、
- 自分がちゃんと前に進めていた実感
- 振り返りの材料(何が詰まりやすいか)
- 週報・日報のネタ
- 上司や関係者への説明の軸
になって、じわじわ効いてきます。
家事・生活で使うToDone:終わりがないものに効く
家事は、終わっても終わりません。
やった瞬間から、また始まる。
だからこそ、ToDo方式だと虚しさが増えやすい。
ToDoneは、終わりのないものに「区切り」を作れます。
家事ToDoneの書き方例
- 洗濯回して干した
- 食器をまとめた
- 冷蔵庫の中を1段だけ拭いた
- ゴミを集めた
- 玄関だけ掃いた
- 日用品を補充した
全部やらなくていい。
“やった部分”を残すだけで、「私は回してる」が戻ってきます。
ToDoneが続かない人の典型パターンと、現実的な対策
パターン1:書くのを忘れる
対策:書くタイミングを固定する
おすすめは「切り替わり」に紐づけること。
- PCを開いたら1行
- 会議が終わったら1行
- 昼ごはんの前に1行
- 風呂の前に1行
思い出したときにまとめて書くより、切り替わりで1行が続きます。
パターン2:書いても虚しい
対策:成果を書こうとしている可能性
ToDoneは成果じゃなく行動を書く。
「進んでない」のではなく、「進むための行動をした」を残す。
- 迷った
- 調べた
- 話を聞いた
- 条件を揃えた
このへんが書けると、虚しさが減ります。
パターン3:結局ToDoも必要になる
必要な日もあります。
ToDoneはToDoを完全に否定するものじゃない。
ただ、混ぜると疲れるので、分けます。
- ToDo:今日の最小3つだけ(固定)
- ToDone:その日やったこと(自由)
ToDoを“増やさない”のがポイント。
増やしたくなったら、ToDoneに吸収します。
ToDoを増やさないための「3つだけルール」
ToDoneをやっていると、ToDoを増やしたくなる瞬間が来ます。
そのときのためのルールです。
1) ToDoは「今日の最小3つ」だけ
- 返信1件
- 重要タスクの着手5分
- 生活の最低限1つ
これだけ。
他はToDoneに書く。
2) “思いついたこと”はToDoにしないで、保管箱へ
思いつきは、未来の自分への押し付けになりがち。
メモとして残すのはOK。でも、ToDoにしない。
- いつかやる箱
- 気になる箱
- アイデア箱
この箱に入れて、今日の自分は守ります。
3) 「今やらない」決定もToDoneに書く
ToDoneは、やっただけじゃなく、決めたことも残せます。
- 今日はここまでにする、と決めた
- Aは明日に回す、と決めた
- これは今やらない、と決めた
決めたことは、行動です。
これが書けると、自己否定がぐっと減ります。
ToDoneを“メンタルの安全装置”にする運用
ここからは、もう少しメンタル寄りの使い方です。
ToDoneは、気分が落ちる前に効く「安全装置」になります。
落ちる前のサインをToDoneに混ぜる
気分が落ちるとき、突然落ちるように見えて、実は予兆があります。
- 寝不足
- 食べてない
- 予定詰めすぎ
- 返事待ちが多い
- 比較してSNSを見た
- 休憩なし
- 体が冷えてる
- 片づけが崩れている
これを、責めるためじゃなく“観察”としてToDoneに残します。
例:
- 12:30 何も食べずに会議3本目(疲れ)
- 15:00 体が冷えてる、上着追加
- 18:20 SNS見て焦り増(閉じた)
こういう記録は、「私が弱いから」ではなく
「条件が揃うと落ちやすい」という再現性をくれます。
週1回だけでいい「ToDone振り返り」のやり方
毎日振り返りをすると、反省会になりやすい人もいます。
そういう人ほど、週1回がちょうどいい。
見るのは3つだけ
- よくやってた行動(繰り返し出てくるもの)
- しんどくなる条件(落ちる前のサイン)
- 来週ラクにする工夫(1個だけ)
ここでも「改善案を10個出す」みたいなことはしません。
1個だけでいい。
例:
- 来週は、昼前に一口でも食べる
- 夕方のSNSだけやめる
- 会議の前後に水を飲む
- 返信テンプレを作る
“改善”より“摩擦を減らす”が合っています。
仕事が忙しい人向け:ToDoneを「説明責任」に変える
忙しい職場ほど、見えない仕事が増えます。
そのときToDoneは、自分を守る証拠になります。
週報への変換が簡単になる
ToDoneがあれば、週報はこう作れます。
- 今週やったこと(ToDoneから抜粋)
- 進捗(何がどこまで進んだ)
- 課題(詰まっている理由)
- 次週(最小の次の一手)
これは、心のためだけじゃなく、仕事のためにも効く。
「やってない」ではなく「こういう理由で止まっている」を言える
ToDoneを見返すと、止まっている原因が見えることがあります。
- 返事待ちが多い
- 仕様が曖昧
- 調整が必要
- 優先度が変わった
- 判断待ち
この場合、努力不足ではなく、構造の問題です。
構造が見えれば、次の手が変わります。
それでも焦りが消えないときの、ToDoneの使い方
ToDoneを書いても焦りが消えない日もあります。
そんなときは、やり方を変えます。
「量」ではなく「回復」を書く
焦りが強い日は、やったことが多くても満足できない。
そういう日は、回復行動をToDoneに入れます。
- 10分歩いた
- 温かいもの飲んだ
- 目を閉じた
- 5分だけ外気
- 今日は早めに切り上げた
回復行動は、さぼりじゃなくて維持活動。
長期的には一番効率がいい。
「完了」ではなく「前進」の証拠を拾う
- 目次を書いた
- 最初の1段落を書いた
- たたき台を作った
- 方向性を決めた
- 判断材料を集めた
完了が難しいタスクほど、前進の証拠を残すと気持ちが落ち着きます。
ToDoneを続けるための、現実的なミニテンプレ
最後に、迷わず続けるためのテンプレを置いておきます。
このままコピペして使える形。
1日テンプレ(最小)
- 今日のToDone
仕事が多い日テンプレ
- 連絡・調整
- 作業
- 判断・整理
- 回復(維持活動)
しんどい日テンプレ
- 生存
- 最低限
- できたこと
おわりに:増やさないほうが、回ることがある
ToDoを増やすほど、真面目な人は苦しくなりやすい。
それはあなたの弱さではなく、やり方の相性の問題です。
ToDoneは、現実の中で「回した」ことを、ちゃんと残します。
小さな行動を証拠として積み上げることで、焦りと自己否定の燃料を減らし、次の一手を出しやすくする。
今日から完璧にやらなくていい。
思い出したときに、1行だけ。
- いま、これをやった
- ここまで進んだ
- 今日はこれで十分
その積み重ねが、気持ちの足場になります。

