理不尽な人に傷つけられたあと、自分だけを責めすぎないための心の守り方

心を軽くするヒント

理不尽な人にひどいことを言われたり、ぞんざいに扱われたりすると、
出来事そのものが終わったあとも、心の中ではずっと続いてしまいます。

  • 「私のほうが悪かったのかな」
  • 「あの場面でこう返せなかった自分がダメなんだ」
  • 「もっとちゃんとしていれば、あんなふうに言われなかったはず」

そうやって、自分ばかりを責め続けてしまうと、
傷ついた出来事そのものよりも、「自分責め」そのものが苦しさを大きくしていきます。

この記事では、

  • なぜ理不尽なことがあると、自分を責めてしまいやすいのか
  • 「事実」と「相手の問題」と「自分の領域」を分けて考える視点
  • できるだけ自分を責めすぎないための、心の守り方・考え方
  • 具体的なノートワークや、今日からできる小さなセルフケア
  • 今後同じようなことが起きたときのための「心の準備」

を、ゆっくり整理していきます。

目指したいのは、

「理不尽な人をきれいさっぱり許せる自分」になることではなく、
「理不尽なことが起きても、自分だけを傷つけ続けないでいられる自分」

です。

全部をいきなり変えようとしなくて大丈夫です。
読んでいて「これならできそう」と思えたところを、ひとつだけでも拾ってもらえたらと思います。


  1. 理不尽な人に傷つけられたあと、なぜ「自分ばかり」責めてしまうのか
    1. その場では何も言えなかった自分が、あとから責めの対象になる
    2. まじめな人ほど、「自分のせい」にしやすい
    3. 「関係を壊したくない」と思うからこそ、自分側に理由を探してしまう
  2. 「事実」「相手の問題」「自分の領域」を分けてみる
    1. まずは「何が起きたか」だけを書き出す
    2. 次に、「これは相手側の問題だ」と切り分けてみる
    3. 最後に、「自分の領域」にだけ目を向けてみる
  3. 理不尽な出来事のあとにできる、心の応急処置
    1. ① 「今、何に一番傷ついているのか」を言葉にしてみる
    2. ② 「こう感じるのは当然だ」と自分に一言添える
    3. ③ 身体から「今ここ」に戻してあげる
  4. 自分だけを責めすぎないための、考え方の切り替え
    1. 「あのときの私は、あのときの条件で動いていた」
    2. 「もし大切な友だちが、同じ経験を話してきたら?」
  5. ノートでできる、シンプルな「心の守り方」ワーク
    1. ワーク① 「事実」と「解釈」を左右に分けて書く
    2. ワーク② 「これ以上、自分が背負わなくていいものリスト」
  6. 今後同じようなことが起きたときの「心の準備」
    1. ① 「モヤッとしたら一度、席を外してもいい」と決めておく
    2. ② 「その言い方はやめてください」とだけ伝える練習
  7. 日常の中でできる、小さなセルフケア
  8. おわりに:理不尽さの中でも、自分の尊厳だけは守っていく

理不尽な人に傷つけられたあと、なぜ「自分ばかり」責めてしまうのか

その場では何も言えなかった自分が、あとから責めの対象になる

理不尽な人に出会う場面は、いろいろあります。

  • 明らかに不公平な叱られ方をした
  • 相手の機嫌に振り回されて、心ない言葉をぶつけられた
  • 説明もなく責任だけ押しつけられた
  • こちらの事情を無視した要求をされ続けた

その瞬間、自分の中では

  • 驚き
  • 悲しさ
  • 怒り
  • 悔しさ

が一気に押し寄せてきて、
頭も心もフリーズしてしまうことがよくあります。

そして時間が経ってから、
ようやく言葉が出てくるのです。

  • 「あのとき、こう言い返せばよかった」
  • 「それはおかしいですよね、と言うべきだった」

ところが、言えなかった自分を思い浮かべて、

「あの場面で何も言えなかった私は弱い」
「黙っていた私が悪い」

と、自分に矢印を向けてしまいがちです。

まじめな人ほど、「自分のせい」にしやすい

理不尽な扱いを受けたとき、
「自分も悪かったところがあるかもしれない」と考えられることは、本来とても大事な力です。

ただ、まじめで責任感が強い人ほど、それが行き過ぎてしまい、

  • 相手の問題まで「自分の責任」のように背負う
  • 「あの人にも事情がある」と、自分だけを我慢させる方向に使ってしまう
  • 「自分がもう少し頑張れば、解決するはず」と思いこんでしまう

という状態に陥りやすくなります。

すると、

「相手が理不尽である」という事実よりも、
「それにうまく対処できない自分がダメだ」という図が強くなる

ため、傷が深くなってしまうのです。

「関係を壊したくない」と思うからこそ、自分側に理由を探してしまう

職場・家族・身近な人ほど、

  • 今後も付き合いが続く
  • 「関係そのもの」を失いたくない

という事情もあります。

そのとき心の奥で起きるのは、こんな動きです。

  • 「相手が理不尽だ」と認める → その人を信頼できなくなる
  • 信頼できない人との関係を続けるのはしんどい → でも離れられない
  • だったら、「自分が悪かった」ことにしたほうが関係は保ちやすいかもしれない

こうして無意識のうちに、

「相手に問題がある」より「自分が悪かった」という結論のほうが、表面上はラク

になり、自分責めのほうに寄っていきます。


「事実」「相手の問題」「自分の領域」を分けてみる

自分を守るための最初のステップは、「混ざっているものを分ける」ことです。

まずは「何が起きたか」だけを書き出す

ノートやスマホのメモに、
感情はいったん横に置いて、

「実際に、何が起きたのか」

だけを箇条書きにしてみます。

例:

  • 会議中、上司が突然声を荒げて、自分だけを名指しで責めた
  • 事前に共有されていなかったルールで、責任を問われた
  • 相手は最後まで、「言い方がきつかったかもしれない」とは認めなかった

ここでは、

  • 「ひどかった」「ありえない」などの評価
  • 「私がダメだから」などの解釈

はいったん書かなくて大丈夫です。

次に、「これは相手側の問題だ」と切り分けてみる

書き出した箇条書きを眺めながら、

「これは、相手側の問題・課題の領域だな」

と思える点に印をつけていきます。

たとえば、

  • 大声で怒鳴る
  • 話を最後まで聞かず決めつける
  • 相手の状況を一切確認せず、一方的に責める
  • 自分の機嫌を仕事に持ち込む

といった行動は、

「相手の感情のコントロールの問題」
「相手のコミュニケーションの習慣の問題」

であり、
あなたが背負うべきものではありません。

ここが曖昧なままだと、全部が「自分のせい」に見えてしまうので、

「これは相手の領域」と、頭の中で線を引いておく

ことが大切です。

最後に、「自分の領域」にだけ目を向けてみる

その上で、あらためて自分に問いかけてみます。

  • 自分の行動や準備の中で、「ここはたしかに工夫の余地があったな」と思う部分はあるか
  • もし今後同じような場面になったら、自分なりに変えてみたいところはどこか

ここでのポイントは、

「自分の領域」=「自分だけが全責任を負うべき場所」

ではない、ということです。

むしろ、

「今後、自分のために変えてみてもいい場所」

として見るイメージのほうが近いかもしれません。

「相手の問題」と「自分の領域」を分けて考えることで、
必要以上の自分責めから、少しずつ離れられるようになっていきます。


理不尽な出来事のあとにできる、心の応急処置

① 「今、何に一番傷ついているのか」を言葉にしてみる

出来事そのものよりも、
「その中のどのポイントに一番傷ついたか」を言葉にしてみます。

  • 「私の話を一切聞いてもらえなかったことに傷ついた」
  • 「人前で恥をかかせるようなやり方をされたことがつらかった」
  • 「自分の努力を何も見てもらえていなかったことが悲しかった」

ここをはっきりさせると、

「私は、『自分をどう扱われたか』によって傷ついたんだ」

と分かり、自分責めだけではない視点が持てます。

② 「こう感じるのは当然だ」と自分に一言添える

理不尽なことがあった直後は、
感情が大きく揺れて当たり前です。

  • ずっとイライラする
  • 突然涙が出てくる
  • なかなか仕事に戻れない

そんな自分に対して、

「この状況で、こう感じるのはむしろ自然だ」

と、一言だけでも自分に添えてあげてください。

「いつまでも引きずってしまう自分」を責めるよりも、

「これだけのことがあったんだから、心が乱れるのも無理はない」

と認めるほうが、回復へのスタートになります。

③ 身体から「今ここ」に戻してあげる

頭の中が出来事でいっぱいになり、
ぐるぐる考えが止まらないときは、
身体から今の感覚に戻してあげるのも一つの方法です。

例えば、

  • 深呼吸を一度だけゆっくりして、息を吐くほうを長めにする
  • 手を温かいお湯で洗う/マグカップを両手で包む
  • 足の裏を床にぎゅっとつける感覚に意識を向ける

小さなことですが、

「頭の中の世界」から「今ここの世界」に戻るための橋渡し

になります。


自分だけを責めすぎないための、考え方の切り替え

「あのときの私は、あのときの条件で動いていた」

後から振り返ると、

  • 「もっとこう言えばよかった」
  • 「あそこで席を立つべきだった」
  • 「黙って耐え続けたのがいけない」

と、今の知識と感覚で採点してしまいがちです。

でも実際のところ、

  • そのとき持っていた情報
  • そのときの体力・メンタルの状態
  • 周りとの関係性
  • どれだけ追い詰められていたか

は、今とは違っています。

だからこそ、

「あのときの私は、あのときの条件の中で精一杯だった」

という視点を、あえて採用してみてほしいのです。

「完璧ではなかったかもしれないけれど、
あの瞬間の自分にとっては、あれが限界だった。」

そう認めることは、自分を甘やかすことではありません。
むしろ、

「状況と心の状態を考えたうえで、自分を現実的に評価する」

という、とてもまじめな態度です。

「もし大切な友だちが、同じ経験を話してきたら?」

自分を責めすぎていると感じたときは、
視点を入れ替える質問をしてみます。

「もし、大事な友だちが全く同じ状況で、全く同じ行動をしたと話してきたら、
自分はなんと言ってあげるだろう?」

  • 「あなたが全部悪い」と言うでしょうか?
  • 「もっとやりようはあったでしょ」と責め立てるでしょうか?

きっと、多くの人は、

  • 「それはつらかったね」
  • 「あの状況なら、何も言えなくても無理はないよ」
  • 「よく一人で耐えてたね」

そんな言葉をかけるのではないでしょうか。

その言葉を、そのまま自分にも渡してあげる。
最初はむずがゆくても、
少しずつ「自分に対する声のトーン」を変えていく練習になります。


ノートでできる、シンプルな「心の守り方」ワーク

ワーク① 「事実」と「解釈」を左右に分けて書く

1ページを真ん中で線引きして、左と右に分けて使います。

  • 左側:起こった事実
  • 右側:そのとき自分がつけた解釈・意味づけ

【左:事実の例】

  • 会議中、上司が「こんな簡単なこともできないのか」と言った
  • 業務量が明らかに偏っていることを伝えたら、「みんなやっている」と返された

【右:解釈の例】

  • 私は社会人としても人間としてもダメだ
  • こんなこともできない自分は、ここにいる価値がない

書き出した後、右側を眺めながら問いを立てます。

「この解釈は、“事実100%”と言い切れるだろうか?」
「他の見方をするとしたら、どんな言い方があり得るだろう?」

例えば、

  • 「上司は自分のストレスをぶつけてきただけかもしれない」
  • 「無茶な業務量を認めたくないから、『みんなやっている』と言っているだけかもしれない」

といった「別の仮説」をあえて作ってみると、
少しだけ距離が生まれます。

ワーク② 「これ以上、自分が背負わなくていいものリスト」

同じくノートに、

「これは、本当は私が背負わなくていい」

と思えることを、箇条書きにしていきます。

  • 他人の機嫌の悪さの理由
  • 相手の感情コントロールの不足
  • 組織の長年の歪み
  • 相手が今まで学んでこなかったコミュニケーションのツケ

書いていくうちに、

「自分が背負おうとしていたものの多さ」

に、気づきやすくなります。

一度「書いて見える形」にすることで、
心の中の荷物を少し下ろす練習になります。


今後同じようなことが起きたときの「心の準備」

理不尽な人がいる場所にいる限り、
残念ながら、似たような場面が完全にゼロになるとは限りません。

だからこそ、

「同じようなことが起きたとき、今度はこうしてみよう」

という「心の作戦」を、少しだけ持っておくと安心です。

① 「モヤッとしたら一度、席を外してもいい」と決めておく

その場で言い返すかどうかの前に、

  • トイレに立つ
  • コピーを取りに行くふりをする
  • 飲み物を取りに行く

など、「その場からいったん離れる」選択肢を持っておきます。

「理不尽な言動を受け止め続けなければならない」

と自分に強制せず、

「この場面から一度離れて、自分を落ち着かせることを優先していい」

と許可しておきます。

② 「その言い方はやめてください」とだけ伝える練習

余裕があるときは、
内容ではなく「言い方」に絞って伝えるのも一つです。

  • 「内容については改善したいと思いますが、その言い方は正直つらいです」
  • 「指摘はありがたいのですが、人前でそう言われるのは苦しいです」

これをいきなり完璧に言う必要はありません。
頭の中で何度かシミュレーションしておくだけでも、
「もし次にああ言われたら、このカードを切ってもいい」という安心材料になります。


日常の中でできる、小さなセルフケア

理不尽なことがあった日は、
いつもより多めに「自分の側に立ってあげる時間」をとってほしいなと思います。

  • いつもより少しだけ早く寝る
  • 好きな飲み物をゆっくり味わう時間をとる
  • 好きな香りや音楽を使って、頭を休ませる
  • 信頼できる人に、「詳しく話せないけど、今日はちょっとつらいことがあった」とだけ伝える

どれも些細なことですが、

「今日はよく頑張ったね」と、自分を扱う行動

そのものが、心の回復を早めてくれます。


おわりに:理不尽さの中でも、自分の尊厳だけは守っていく

理不尽な人に傷つけられたあと、
一番つらくなるのは、
相手の言動そのものよりも、

「その出来事を使って、自分を何度も傷つけ直してしまうこと」

かもしれません。

  • 「私が悪いから、ああなったんだ」
  • 「あんなふうに扱われるくらいだから、私は大した価値がない」

そんなふうに、自分の尊厳を自分で削ってしまうのは、
本当は、何よりもしんどいことです。

この記事の中で、もし一つでも

  • 「これは相手の問題として切り離していいのかもしれない」
  • 「あのときの自分なりに、精一杯だったと言ってあげてもいいかもしれない」
  • 「今度同じようなことがあったら、こうしてみよう」という小さな作戦

が見つかっていたら、
それだけで一歩、心を守る方向に進めています。

理不尽な人や状況を、すぐに変えることは難しくても、

「何を自分のせいにしないか」
「自分をどこまで大切に扱うか」

は、少しずつ選び直していけます。

これからもし似たようなことが起きたとしても、
そのたびにすこしずつ、

自分だけを責め続けるパターンから、
自分の味方でいてあげるパターンへ

シフトしていけますように。

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