理不尽な上司のもとで働きながら、「自分の評価軸」を壊さないための考え方

心を軽くするヒント

理不尽な上司のもとで働いていると、仕事そのものよりも
「自分はダメな人間なのかもしれない」
「何をやっても怒られる気がする」
という感覚に、じわじわ心を削られてしまいます。

上司の機嫌・好み・思いつきで評価が変わる環境にいると、
いつの間にか「自分のものさし」よりも、「上司のものさし」のほうが強くなり、
自分の感覚がどんどん信じにくくなっていきます。

この記事では、

  • なぜ理不尽な上司のもとだと、自分の評価軸が壊れやすいのか
  • 「上司の評価」と「自分の評価軸」を切り離して考えるためのヒント
  • 日々の仕事の中で、自分なりの誇りや価値を確認し直すシンプルな方法
  • 理不尽さに飲み込まれないための「心理的距離」のとり方
  • それでも限界を感じたときの、中長期的な「出口戦略」の考え方

を、ゆっくり整理していきます。

目標は、
「理不尽な上司を好きになること」でも
「すべてを我慢し続けること」でもなく、

上司がどうあれ、「自分はこういう仕事をしている」と胸の内側で言える軸を取り戻すこと。

読みながら「これはできそう」というところだけ拾ってもらえたら十分です。
一気に変えなくて大丈夫なので、まずは心の中に、小さな安全地帯をつくるイメージで読んでみてください。


  1. 理不尽な上司のもとだと、なぜ「自分のものさし」が壊れやすいのか
    1. 「正しさ」ではなく「機嫌」に振り回されるつらさ
    2. 自分の感覚よりも、「上司の言葉」のほうが強くなる
    3. 「自分にも悪いところがあるから」と全部引き受けてしまう
  2. 「上司の評価」と「自分の評価軸」を分けて考えるという発想
    1. 視点を「1つ」しか持っていないと、すべてがその色に染まる
    2. 「別のものさし」を増やしていく
  3. ノートを使って、「自分の評価軸」を言葉にしてみる
    1. ステップ1:仕事で「大事にしていること」を3〜5つ書き出す
    2. ステップ2:「それができた日」と「できなかった日」を、たまに振り返る
    3. ステップ3:「上司のコメント」を、自分の評価軸に翻訳する
  4. 理不尽さから心を守る「心理的距離」のとり方
    1. 「人としての自分」と「仕事上の自分」を少し分けてみる
    2. 「この人は、こういうフィルターで世界を見ている」と捉える
  5. 一緒に働いている人やお客様から、もう一つの尺度をもらう
    1. 同僚・後輩・他部署との関わりに目を向ける
    2. お客様の声・社外の反応を自分の支えにする
  6. 「ここまでは耐える/ここから先は守る」というラインを決めておく
    1. 信頼できる人・機関に「状況を外に出す」
  7. 中長期の「出口戦略」を静かに整えておく
    1. 転職・異動をすぐにはしないとしても「調べておく」
    2. 「今の環境にいながらできること」と「環境を変えたときに使えるもの」を分けて考える
  8. おわりに:理不尽さの中でも、「自分への信頼」を少しずつ取り戻す

理不尽な上司のもとだと、なぜ「自分のものさし」が壊れやすいのか

まずは、どうしてここまで自分の評価軸が揺らぎやすいのかを、やさしい目線で言葉にしてみます。

理不尽な上司には、たとえばこんな特徴があるかもしれません。

  • 気分で態度や評価が変わる
  • 同じことをしても、好きな人には甘く、嫌いな人には厳しい
  • 指示があいまいなのに、結果がイメージと違うと激しく責める
  • 昨日と言っていることが今日変わる
  • ミスの原因を一緒に考えるのではなく、個人攻撃になる

こうした環境で働いていると、毎日が「地面のぐらつく足場」の上にいるようなものです。

「正しさ」ではなく「機嫌」に振り回されるつらさ

本来、仕事の評価はできるだけ「事実」「成果」「プロセス」に基づいてほしいものです。
ところが理不尽な上司のもとでは、

  • 「やったこと」よりも、そのときの「上司の機嫌」が優先される
  • 「論理」よりも、「好み」や「思い込み」で判断される

といったことが多くなります。

そうなると、部下側は、

「何がよくて何が悪かったのか」が見えなくなる

結果的に、「次にどう改善すればいいのか」も分からなくなり、
ただただ「怒られないように」動くようになってしまいます。

自分の感覚よりも、「上司の言葉」のほうが強くなる

理不尽な上司の言動は、たいてい言葉が強いものです。

  • 「なんでこんなこともできないんだ」
  • 「普通はこうするだろ」
  • 「君は本当につかえない」
  • 「あの人と比べて意識が低い」

繰り返し強い言葉を浴びていると、

  • 自分の中では「ここはうまくやれた」と思った仕事でも、
    →「いや、でも上司はダメだと言っていた」と自分の感覚を引っ込めてしまう
  • 「この判断はおかしいのでは」と感じていても、
    →「私がおかしいのかな」と自分を疑うクセがつく

こうして少しずつ、自分の評価軸が削れていきます。

「自分にも悪いところがあるから」と全部引き受けてしまう

真面目で責任感がある人ほど、

  • 「たしかに自分にも改善点はあるし…」
  • 「100%あの人だけが悪いとは言えないし…」

と考えます。

その姿勢自体はとても成熟しているのですが、
理不尽な上司のもとでは、

「上司の理不尽さ」+「自分の反省」

を全部自分の背中に背負ってしまいがちです。

結果として、

・上司が不機嫌なのも
・組織の都合の悪さも
・周りの体制の問題も

「自分の至らなさ」のように感じてしまい、
自己評価が大きく歪んでいきます。


「上司の評価」と「自分の評価軸」を分けて考えるという発想

ここから大事になってくるのは、
「上司の評価」と「自分の評価軸」を、同じものとして扱わない」 というスタンスです。

それは、上司の意見を全部無視していい、ということではありません。

大まかに言うと、

  • 上司の評価=「会社の中でどう見られているか」という、ひとつの視点
  • 自分の評価軸=「自分の仕事をどう見たいか」という、もうひとつの視点

と分けて持っておくイメージです。

視点を「1つ」しか持っていないと、すべてがその色に染まる

もし、上司のものさししか持っていなければ、

上司に怒られる=自分は価値がない
上司に褒められない=自分はダメ

という二択になってしまいます。

でも、本来の世界はもっと多層的です。

  • 同僚からの信頼
  • お客様からの言葉
  • 自分自身が「ここは大事にしたい」と思ってやっていること
  • 将来に向けてコツコツ続けている学びや工夫

こうしたものは、
一人の上司の機嫌や主観だけでは測り切れません。

「別のものさし」を増やしていく

だからこそ、理不尽な上司のもとで働きながらも、

「ここではこう言われるけれど、別の見方もある」

という感覚を持っておくことが、とても大切です。

たとえば、

  • 「上司の評価シート」だけでなく、「自分の評価シート」を持つ
  • 仕事の振り返りを、「上司視点」「自分視点」の2種類で書いてみる
  • 一緒に働いている同僚・他部署・お客様の反応も、「もう一つの尺度」として意識する

こうやって少しずつ“別のものさし”を増やしていくことで、
上司の評価が全て、という状態から、
「上司の評価は、たくさんある視点の一つ」という状態へと、心の距離を変えていけます。


ノートを使って、「自分の評価軸」を言葉にしてみる

自分の評価軸を守るためには、
「自分はどういう仕事をしたいのか」「どんな姿勢を大事にしているのか」を、
一度きちんと文字にしてみることが役に立ちます。

ステップ1:仕事で「大事にしていること」を3〜5つ書き出す

ノートでもスマホでもいいので、次の問いを書いてみます。

「私は、仕事をする上で、どんなことを大事にしたいと思っているだろう?」

そして、思いつくままに箇条書きしてみてください。

例:

  • 約束した期限はできるだけ守りたい
  • 分からないことをそのままにせず、ちゃんと確認したい
  • 相手が次に動きやすいように、情報を整理して渡したい
  • 後から困ることがないように、リスクを先に見ておきたい
  • 誰か一人だけに負担が偏らないように、できる範囲で声をかけたい

ここで書いたものは、
上司に認められるかどうかとは関係なく、

「自分にとっての“良い仕事”の条件」

です。

ステップ2:「それができた日」と「できなかった日」を、たまに振り返る

そのうえで、週に1回でもいいので、次のように振り返ってみます。

  • 今週、「自分の大事にしたいこと」ができた場面はあったか
  • 逆に、「本当はこうしたかったけれど、できなかった」と感じた場面はあったか

上司に怒られたかどうかとは別に、

「自分のものさしで見て、これは良かった/惜しかった」

と判断してみることが大切です。

たとえ上司に理不尽に責められた日でも、

  • 自分なりには、できる準備をしていた
  • 相手への伝え方は、前よりも落ち着いてできた
  • ミスはあったけれど、隠さずに共有できた

こうした部分は、
自分の評価軸で見れば「プラス」として残していいところです。

ステップ3:「上司のコメント」を、自分の評価軸に翻訳する

理不尽なフィードバックを丸呑みせず、
一度「翻訳」してから受け取るイメージも役に立ちます。

たとえば、上司から

「お前はいつも段取りが悪い」

と言われたとします。

そのまま受け取ると、

「自分は段取りが悪い人間だ」

というラベルになってしまいますが、
翻訳してみると、こんなふうに分解できます。

  • どの場面の、どの行動を見てそう言われたのか?
  • 具体的にどこが問題だったのか?
  • 自分の大事にしている軸から見たとき、改善できそうなところはあるか?

もし、

  • 情報共有のタイミングが遅れた
  • 優先順位の確認を自分からできていなかった

など、改善できる要素が見つかれば、そこだけ拾います。

逆に、

  • 上司の指示が直前まで曖昧だった
  • 上司の気分によって締め切りや条件が変わった

といった要素が大きいなら、

「ここは、上司の理不尽さの影響が大きい」

という認識をはっきり持ち、
「自分が全面的に悪い」とは結論づけないようにします。


理不尽さから心を守る「心理的距離」のとり方

自分の評価軸を守るためには、
上司との間に「見えないクッション」を置くイメージも大切です。

「人としての自分」と「仕事上の自分」を少し分けてみる

理不尽な言葉を浴び続けると、
どうしても「人格」を否定されたように感じてしまいます。

そこで、心の中で次のように分けてみます。

  • 上司が評価しているのは、「あくまで仕事上のパフォーマンスの一部」
  • 「人間としての価値」まで判断される筋合いは、本来ない

もちろん、実際には人格攻撃のような言葉も飛んでくるかもしれません。
それでも、自分の中では、

「今批判されているのは、あくまで“仕事上のロールの一部”」

と、少し引いた視点を意識するだけで、ダメージは少しずつ変わってきます。

「この人は、こういうフィルターで世界を見ている」と捉える

理不尽な上司は、たいてい

  • ものごとを短期目線でしか見ていない
  • 自分の価値観を絶対視している
  • 感情のコントロールがうまくいっていない

など、「そうなってしまう背景」があります。

だからといって許す必要はありませんが、

「この人の価値基準は、あくまで“この人のフィルター”にすぎない」

と考えてみます。

  • 「スピード至上主義のフィルター」
  • 「上下関係重視のフィルター」
  • 「自分の正解しか認めないフィルター」

そのフィルターを通した結果としての言動なのだ、と捉えると、
「世界そのものから否定されている」感覚は、少し和らぎます。


一緒に働いている人やお客様から、もう一つの尺度をもらう

自分だけで評価軸を立て直すのが難しいとき、
「周りの人の声」を少し頼りにするのも、大切な手がかりになります。

同僚・後輩・他部署との関わりに目を向ける

理不尽な上司のもとでは、どうしても視界が「上司との関係」に偏りがちです。
そこで意識して見てみたいのが、

  • 一緒に仕事をしている同僚
  • チームの後輩
  • 他部署の人たち

とのやり取りです。

  • 自分に相談を持ちかけてくれる人がいる
  • 困ったときに頼られることがある
  • 自分の説明で「分かりました」と表情がやわらぐ瞬間がある

こうした場面は、
「上司以外の誰かから見た、自分の姿」 のヒントになります。

できれば、信頼できる同僚に、そっとこんな質問をしてみてもいいかもしれません。

「私って、仕事のどんなところが役に立ってると思う?」

大げさなことを聞かなくても、
何か一言返ってくれば、それは自分の評価軸を支える材料になります。

お客様の声・社外の反応を自分の支えにする

もし対外的な仕事をしている場合は、
お客様やクライアントの反応も大切な手がかりです。

  • 直接かけてもらった言葉
  • メールに書かれていた感謝の一文
  • 継続して依頼をもらえている事実

これらは、「上司の評価」とは別に存在する価値の証拠です。

心が折れそうなときに読み返せるよう、

  • 感謝の言葉をスクショしておく
  • ノートの1ページにメモしておく

といった形で、目に見える形に残しておくと、
「自分は何者でもない」という感覚に飲み込まれそうなときの支えになります。


「ここまでは耐える/ここから先は守る」というラインを決めておく

いくら評価軸を守ろうとしても、
あまりに理不尽さが行き過ぎていると、心と体がついていけなくなります。

そのときのために、
「ここを越えたら、本気で環境を変えることを考える」 というラインも、
自分なりに決めておくことが大切です。

例としては、たとえばこんなものがあります。

  • 毎日のように人格否定の言葉を浴びる
  • 身体症状(眠れない・食欲がない・朝起きられない・涙が出るなど)が続く
  • ミスの責任を不公平に押し付けられ続ける
  • セクハラ・パワハラにあたる発言や行動が頻発する

これらは、「慣れるべきこと」ではなく、
本来は組織として対処されるべき問題です。

信頼できる人・機関に「状況を外に出す」

一人で抱え込むと、自分の感覚がどんどん麻痺していきます。

  • 人事・コンプライアンス窓口
  • 労働組合
  • 産業医や社外の相談窓口
  • 信頼できる友人・家族

誰か一人でもいいので、
「実際に何があったのか」を、できる範囲で話してみることは、とても大きな一歩です。

それは、
「自分の感覚を、外の世界に確認してもらう行為」 でもあります。


中長期の「出口戦略」を静かに整えておく

理不尽な上司のもとで長く働き続けるのは、どうしても心身への負担が大きくなりがちです。

「今すぐ辞める」が難しい状況でも、
中長期的な選択肢を持っておくだけで、
心の中の「追い詰められている感」は少し和らぎます。

転職・異動をすぐにはしないとしても「調べておく」

  • 自分の経験やスキルで、他にどんな求人があるのか眺めてみる
  • 社内の他部署・他拠点に、どんなポジションがあるか調べてみる
  • 職種を変えた人・部署を変えた人の話を、社内外で聞いてみる

これらはすべて、
「今の上司が唯一の世界ではない」という感覚を持つための行動です。

「今の環境にいながらできること」と「環境を変えたときに使えるもの」を分けて考える

ノートに、次の2つの欄を作ってみます。

  • 今の環境にいながらできること
  • 環境を変えたときに活きるもの

たとえば、

  • 今の環境にいながらできること
    • 業務の中で、自分の得意分野を深める
    • 同僚や他部署との信頼関係を築いておく
    • 仕事の記録をこまめに残しておく(どんな案件をどの規模で担当したか、など)
  • 環境を変えたときに活きるもの
    • 現場で培った対応力
    • 混乱の多い環境で、何とか回してきた経験
    • 「こういうマネジメントはしないでおこう」という反面教師的な学び

こうして書き分けてみると、
「今ここで経験していること」が、
将来自分の武器になるイメージも少し持ちやすくなります。


おわりに:理不尽さの中でも、「自分への信頼」を少しずつ取り戻す

理不尽な上司のもとで働くことは、本当に消耗します。
一日を乗り切るだけでも、相当なエネルギーが必要です。

そんな中で、

  • 自分の評価軸を守る
  • 自分の仕事を、自分の目でも見てあげる

というのは、言葉で言うほど簡単ではありません。

だからこそ、すこしずつ、ほんの小さなところからで大丈夫です。

  • 仕事で「大事にしたいこと」を3つ書き出してみる
  • 1日の終わりに、「自分のものさしで見てよかったところ」を1行メモする
  • 理不尽なフィードバックを、そのまま「自分の全否定」にしない
  • 同僚やお客様からの「ありがとう」を、自分の中でちゃんと受け取る
  • 「ここを越えたら、環境を変えることも考える」というラインを、自分の中に持っておく

どれか一つでも「やってみようかな」と思えるものがあれば、
それだけでも、評価軸がすべて上司の手に渡ってしまうのを防ぐ一歩になります。

あなたが日々していることは、
「理不尽な上司に耐えている」ことだけではありません。

  • チームの仕事を前に進めている
  • 空気を和らげている
  • ミスやトラブルを最小限に抑えている
  • 誰かの安心や成果を、目立たないところで支えている

そうした一つひとつに、
本来は十分すぎるほどの価値があります。

どうか全部を、上司一人のものさしだけで判定しきらなくて大丈夫です。

あなた自身の中に、「自分はこういう仕事をしたい」「ここはよくやった」と言える静かな声が、
少しずつ、また聞こえるようになっていきますように。

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