目が覚めた瞬間から、頭の中はすでに「仕事」でいっぱい。
布団の中で、今日のタスクや会議、あの人の表情、やり残したことが次々と浮かんできて、起きる前からぐったりしてしまう。通勤時間も「出社前の準備」というより、心の中ではすでに本番が始まっているような感覚。
そんな状態が続くと、会社に着くころにはもうヘトヘトで、「1日のエネルギーを出社前にかなり使ってしまった…」ということになりがちです。
この記事では、
- なぜ朝からここまで仕事のことで頭がいっぱいになってしまうのか
- 通勤時間に「考えすぎてしまう自分」の正体
- 起きてから家を出るまでにできる、メンタルの“クッション”の作り方
- 通勤時間を「仕事を前倒しで悩む時間」から「心のアップ&クールダウンの時間」に変えるコツ
- 仕事のことを考えてしまったときに、自分を責めずに「切り替え直す」ための小さな一言
を、ゆっくり整理していきます。
ポイントは、
「仕事のことを一切考えない完璧な通勤時間」にすることではなく、
「考えすぎて自分を消耗させない通勤時間」に、少しずつ調整していくこと。
小さな習慣の積み重ねで、朝の通勤時間を「すり減る時間」から「整える時間」に近づけていきましょう。
朝起きた瞬間から仕事のことで頭がいっぱいになる理由
まずは、「なぜこんなに朝から仕事モードになってしまうのか」をやさしく分解してみます。
「朝=仕事のカウントダウン」になっている
起きた瞬間に浮かびやすいのは、こんな思考です。
- 「今日は◯時までにあれを終わらせないと」
- 「朝イチであの報告がある」
- 「あの人と話さなきゃいけない」
- 「昨日のあれ、ちゃんとフォローできるかな」
頭の中では、すでに一日のシミュレーションが始まっています。
これは決して「心が弱いから」でも「仕事のとらえ方がおかしいから」でもなく、
真面目で責任感がある人ほど、自然とそうなりやすい反応です。
“先回りして準備する力”が、裏目に出ている
本来、先回りして考えたり準備したりできることは、大きな強みです。
問題は、その力が「安全のための準備」を超えて、「不安をふくらませる回路」になってしまっていること。
- 「◯◯と言われたらどうしよう」
- 「あの人の機嫌が悪かったらどうしよう」
- 「うまく話せなかったらどうしよう」
この「どうしよう?」のシミュレーションは、体力も心のエネルギーもかなり消耗させます。
睡眠中に処理しきれなかった不安が、朝いちばんに浮かびやすい
睡眠中、脳は一日の出来事や感情を整理しようとします。
でも、日々の負荷が大きいと、その作業が追いつかず、「処理しきれなかった心配ごと」が朝方に浮かんできやすくなります。
- 寝たはずなのにすっきりしない
- 夢の中でも仕事をしていた気がする
- 朝からすでに頭がパンパン
そんな状態で布団から出ると、
通勤時間は「休息の延長」どころか「すでに戦場に向かう心の準備時間」になってしまいます。
通勤時間が「べつの時間」になりにくい現代の通勤事情
さらに、最近の通勤環境は、「心を切り替えにくい条件」がそろいやすくなっています。
スマホのおかげで、通勤中も仕事とつながり続けてしまう
- 電車の中でメールチェック
- チャットツールの通知
- カレンダーを開いて、今日の予定を一つひとつ確認
- つい昨日のメッセージに返信してしまう
これを“準備のつもり”でやっているうちに、心と頭は完全に仕事モードに入ってしまいます。
「通勤=仕事の前倒しタイム」になればなるほど、
会社についたころにはエネルギーが目減りしているのも無理はありません。
通勤=「何かしていないと落ち着かない時間」になっている
- ぼーっとしていると「時間を無駄にしている」と感じてしまう
- 移動時間も有効活用しないと、と思ってしまう
- 常にスマホをいじっていないとソワソワする
“がんばり屋さん”の多くが、通勤時間ですら何かしら「成長」「インプット」「タスク処理」に使おうとしてしまいます。
その姿勢自体は素晴らしいのですが、心や体の回復のための時間が削られてしまうと、長い目で見たときにパフォーマンスが落ちてしまうこともあります。
起きてから家を出るまでにできる「メンタルのクッションづくり」
通勤時間のメンタルを整えるためには、
実は通勤時間そのものより、**「起きてから家を出るまで」**の過ごし方がじわじわ効いてきます。
朝いちばんの「1分だけ仕事以外のことを考える」
起きた瞬間に、もう仕事が押し寄せてくる感覚があるなら、
あえて「1分だけ仕事以外のことを考える時間」をつくってみます。
たとえば、
- カーテンを開けて、空の色や天気をちゃんと見る
- 部屋の空気の冷たさや温かさを感じてみる
- 今日飲むお茶やコーヒーのことを考える
- 「今日は帰りに何食べようかな」と、終わり側の楽しみを一つだけ思い浮かべる
「1分だけ」と決めると、そこまで負担にはなりません。
この1分は、
「今日も1日=仕事だけじゃない」
と、心に小さな印をつける時間です。
朝のニュース・SNSを“少しだけ遅らせて”みる
習慣になっている人も多いかもしれませんが、
目覚めてすぐのニュースやSNSチェックは、思った以上に脳に刺激を与えます。
可能なら、
- 起きてから10〜15分は、スマホを触らない
- ベッドのそばではなく、リビングなど少し離れた場所で初めてスマホを見る
というふうに、「デジタル情報」の流入を少しだけ遅らせてみます。
その短い時間が、
**「自分のペースで1日を始めるための助走」**になります。
「今日やること」を通勤中に考えないためのメモ
通勤中にタスクが頭を占領しやすい人には、
家を出る前の「3分タスクメモ」が有効です。
- 付箋や小さなメモ帳、スマホのメモアプリなどを用意
- 「今日やること」を、仕事の種類を問わず思いつくままに書き出す
- 書き終えたら、いったんメモを閉じて「続きは会社で」と自分に言う
ポイントは、完璧なToDoリストにしようとしないことです。
「気になっていることを頭から出しておく」くらいの気持ちで、ざっくり書けば十分。
頭の中に散らばっていた“やらなきゃ”が紙や画面に移されるだけで、通勤中の「反すうタイム」が少し減っていきます。
通勤時間を「3つのモード」に分けて考える
通勤時間を、ただの「移動」ではなく、**「心のモードを切り替える時間」**として意識してみます。
ここでは、次の3つのモードをイメージしてみましょう。
- ウォーミングアップモード
- オフモード(仕事から意図的に離れる時間)
- スイッチオンモード(会社に近づいたら少しずつ仕事モードへ)
1. 家を出て少しのあいだ:ウォーミングアップモード
家を出て駅に向かうまでの数分〜十数分は、「今日1日の身体を起こす」イメージで過ごします。
- 歩いているとき、足の裏の感覚や、周りの音・匂いに注意を向ける
- 背中を少し伸ばして、深くゆっくり呼吸してみる
- 「今日はこんなふうに過ごせたらいいな」と、ふんわりした願いをひとつだけ思い浮かべる
ここでは、具体的なタスクよりも、「自分の調子」に目を向けてみることが大事です。
「今日は少し疲れ気味だな」
「思ったより気分は悪くないかも」
そんな小さな気づきがあるだけでも、
一日を無理なくペース配分するのに役立ちます。
2. 電車やバスの中:意識的なオフモード
乗り物に乗ったあと、すぐにスマホで仕事関連のアプリを開くのではなく、
「オフモードの時間」を意識してつくります。
たとえば、
- 音楽やポッドキャストを聴く(仕事とは関係ないもの)
- 小さな本やマンガを読む
- 今日の天気や景色を眺める
- さっき書いた「今日やることメモ」をあえて見ない
「何をするか」ももちろん大事ですが、
それ以上に大切なのは、
「この時間は、仕事のことで自分を追い立てない時間だ」と自覚して過ごすこと。
オフモードがうまく作れない日は、「何もしないオフ」でも構いません。
- 目を閉じて呼吸だけしてみる
- 人の話し声や車内アナウンスをBGMとして聞き流す
それだけでも、「自分の内側」から目をそらせます。
3. 会社の最寄りが近づいたら:スイッチオンモード
ずっとオフのままだと、それはそれで切り替えがしんどいこともあります。
会社の最寄り駅やバス停が近づいてきたら、「ここから少しずつ仕事モードに入っていく」時間にしましょう。
- ここで初めて、今日のカレンダーをざっと確認する
- 「今日はこれだけできたらOK」のラインを1〜3つ決める
- 不安が大きい予定があれば、「とりあえずここまでできれば合格」の目標を決める
大事なのは、完璧な1日を目指すのではなく、「現実的にこれくらいできたら上出来」というラインを決めておくこと。
通勤中、ずっと100%のテンションで構え続けるのではなく、
「オフ → 徐々にオン」の階段を意識してあげると、心の負担はかなり変わってきます。
仕事のことを考えてしまったときの「リカバリー台詞」を持っておく
どれだけ工夫をしても、通勤中にふと仕事のことを考えてしまう瞬間は、きっとやってきます。
そんなときに自分を責めてしまうと、せっかくの工夫も苦しくなってしまいます。
そこでおすすめしたいのが、「リカバリー台詞」をいくつか持っておくことです。
心の中でそっと唱える一言
仕事のことを考えている自分に気づいたら、心の中でこう言ってみます。
- 「あ、また先回りし始めてるな。真面目だなあ」
- 「通勤中に考えるのは、ここまでにしておこう。続きは会社で」
- 「今のこの不安は、ノートに書く時間まで一旦預けておこう」
ポイントは、「やめなきゃ!」と強く止めるのではなく、
少しだけ方向をそらしてあげる感じで声をかけることです。
不安やアイデアは「メモに避難」させる
どうしても気になることが出てきたら、スマホやメモ帳に一行だけ書いて、こう言います。
「書いたからOK。あとは会社についてから考えよう。」
頭の中で何度も考え続けていると、
不安は増幅されていきます。
紙や画面に一度出してしまうのは、
「今ここで解決しなくていい」という許可を、自分に出す行為
でもあります。
からだから「仕事モード」をゆるめる小さな習慣
メンタルの切り替えは、考え方だけでなく、「からだ」から整えることでも少しラクになります。
通勤中の“呼吸リセット”
電車やバスに乗っていると、知らず知らずのうちに呼吸が浅くなり、肩や首が固くなっています。
- 4秒かけて鼻から息を吸う
- 6秒かけて口から細く長く吐く
これを、こっそり3〜5回だけ繰り返してみます。
「ちゃんとできているか」よりも、
ほんの少し息が長くなったなと感じられれば十分です。
「視線を上げる」だけでも効果がある
スマホを見ていると、視線は常に下向き。
気分も自然と沈み気味になります。
ふと気づいたときでいいので、
- 一度スマホから目を離す
- 車窓の外や、車内の少し遠くの一点を見る
- 首や肩を、気づかれない程度にそっと回してみる
「視線を上げる」「遠くを見る」だけでも、
気分が少し変わることがあります。
帰りの通勤時間を「明日の自分を楽にする」時間にする
朝だけでなく、「帰りの通勤時間」をどう使うかも、翌朝のメンタルに大きく影響します。
帰り道に「1日の区切り」をつけておく
帰りの電車やバスの中で、スマホのメモにこんな項目を書いてみます。
- 今日できたこと(小さなことを3つ)
- 明日やること(ざっくり3つまで)
例:
できたこと:
・◯◯さんへの報告が終わった
・資料のたたき台を作れた
・ミスを早めに共有できた
明日やること:
・午前中にA案件の修正
・午後の会議の準備
・夕方にBさんと状況共有
これを帰りに書いておくと、
「明日考えればいいこと」を、明日に渡しておく感覚が育っていきます。
結果として、
朝起きた瞬間の「今日何があったっけ」「何からやれば…」という混乱が少し減り、
通勤中に焦ってタスク整理をする必要も薄くなっていきます。
「完璧じゃなくていい」と決めることが、いちばんのメンタルケア
ここまでいろいろな方法を書いてきましたが、
どれも「毎日完璧にやること」が目的ではありません。
- できない日があってもいい
- 途中までしかできない日があってもいい
- どれか一つだけ続くことがあれば、それだけでもじゅうぶん意味がある
大事なのは、
「通勤時間は、自分を追い詰めるための時間じゃなくて、
自分を整えるための時間にしていいんだ」
と、少しずつ心と体に覚えてもらうことです。
おわりに:朝の通勤時間を、「自分の味方」にしていく
朝起きた瞬間から仕事のことで頭がいっぱいになってしまうのは、
それだけあなたが責任感を持って、日々の仕事に向き合っている証でもあります。
その真面目さは、とても大切なものです。
手放す必要はありません。
ただ、その真面目さが「自分をすり減らす方向」にだけ働いてしまうのは、もったいないことでもあります。
- 起きてから家を出るまでの1分・3分を、自分のペースを取り戻す時間にする
- 通勤時間を、「オフ→オン」の階段として使ってみる
- 考えすぎてしまう自分に、やさしいリカバリー台詞を用意しておく
- 帰り道に、「明日の自分を少し楽にするメモ」を残しておく
どれか一つでも「できそうだな」と思うものがあれば、
最初の一回だけ、試してみてください。
朝の通勤時間が、
「戦いの前の緊張の時間」から、
「今日1日を無理なく過ごすための準備時間」に、
少しずつ変わっていきますように。

