布団に入ってから、「さっきのあれ、どう思われたかな」「あの一言、まずかったかも」と考え始めて止まらなくなる夜。
相手の表情やLINEの文面を思い出しては、自分を責めたり、ぐるぐると想像がふくらんでしまう。
そんなときに必要なのは、
自分を「叱ること」でも、「考えるのをやめなきゃ」と気合いを入れることでもなく、
頭の中で暴走している考えを、いったんノートに「逃がす」こと
です。
この記事では、
- なぜ「どう思われたか問題」が夜に襲ってくるのか
- 頭の中だけで考えると、なぜ余計に眠れなくなるのか
- 枕元に1冊置いておける「夜専用ノート」の作り方
- そのノートに、具体的に何を書けば頭がゆるむのか
- 眠れない夜に使える、3つのシンプルなフォーマット
を、ゆっくり説明していきます。
ポイントは、ノートに「上手に書く」ことではなく、「安全に頭から出す」こと。
きれいにまとめようとしなくて大丈夫です。
「今夜、これだけ書けたらよし」にできる、
小さなノート術をいくつか用意しておきますので、使えそうなものをひとつ選んで、今夜だけ試してみてもらえたらと思います。
「どう思われたか」が夜に強くなる理由
昼間は仕事や家事、人との会話で、頭も心も常に何かに向いています。
細かい不安やモヤモヤがあっても、次の予定に押し流されるように、なんとか1日が過ぎていきます。
ところが、夜になって、電気を消し、スマホを置き、布団に入ると——
- その日あった出来事
- 誰かの一言
- 自分の発言や行動
が、次々に思い出されやすくなります。
特に、
- 相手の表情が固かった気がする
- 返信がそっけなく感じた
- 自分だけ余計なことを言った気がする
といった場面は、心にひっかかりやすく、夜になるといっそう鮮明になって戻ってきます。
頭の中でだけ考えると、なぜつらくなるのか
頭の中だけで考え続けると、
- 同じシーンを何度も再生してしまう
- 事実よりも想像のボリュームがどんどん大きくなる
- 「きっと嫌われた」「変な人だと思われたに違いない」と、断定的な結論に飛びがち
という状態になりやすくなります。
人の脳は、「分からないこと」や「不確かなこと」を嫌う性質 があるといわれます。
だからこそ、相手がどう思ったか「本当のところは分からない」状態がつらくて、
頭の中でなんとか結論を出そうとしてしまう。
けれど、実際には、
- 相手の本心は、今この瞬間には分からない
- 推測すればするほど、不安が増える
- 「考えれば分かる」種類の問題ではない
ということが多いのです。
ここで役に立つのが、
頭の中でぐるぐるしているものを、いったんノートに出してあげること。
それだけで、
「全部自分の頭の中で抱えていなくていい」状態ができます。
夜専用の「ぐるぐる逃がしノート」をつくる
まずは、難しい準備は抜きにして、
- 使いかけのノート
- メモ帳
- いらない裏紙でもOK
を1冊、枕元に常駐させてみます。
ノートは「きれいに書かなくていい」と決める
このノートには、あえてルールをゆるくします。
- 字は汚くていい
- 箇条書きでいい
- 文法や正しさは一切気にしない
- 読み返さなくてもいい(むしろ読まない前提でもOK)
目的は、「作品」をつくることではなく、
今、頭の中で騒いでいるものを、一時避難させること
です。
几帳面な人ほど、ノートとなると、
- 見やすく書かなきゃ
- 後から読み返せるように整理しなきゃ
- 日付やタイトルもきちんと…
と思いがちですが、
夜のノートに関しては、全部手放してしまって大丈夫です。
書き出す前に一言、ノートにこう書いてみるのもおすすめです。
「ここは、今の気持ちを雑に逃がしていい場所」
その一行があるだけで、
自分へのハードルが、少し下がります。
ステップ1:まずは「そのまま書きなぐる」だけでいい
いきなり整理しようとせず、
最初のステップは、頭に浮かんだことを順番も気にせず書きなぐる だけにします。
たとえば、こんな感じでOKです。
・さっきの会議で言った一言、余計だったかも
・上司の顔が微妙だった気がする
・◯◯さんにどう思われたかな
・「ああいうの苦手なんですよね」って言い方、感じ悪かったかも
・あの沈黙はなんだったんだろう
・はあ、失敗したかも
とにかく、「〜だろうか?」「〜かも」を
そのまま並べていくだけ。
ここでは、
- 正解を出そうとしない
- 自分を励まそうともしない
- 分析しようともしない
ことがポイントです。
やることは、ただひとつ。
頭の中の“声”を、そのまま文字にして並べる
それだけです。
数行書いて「もういいかな」と思えたら、そこでやめてOKです。
ノートに出したぶんだけ、頭の中の音量は、少しだけ下がっています。
ステップ2:「事実」と「想像」を分けて書いてみる
少し慣れてきたら、
次のステップとして 「事実」と「想像」を分けて書く 練習をしてみます。
ノートの1ページを、真ん中に線を引いて、左と右に分けます。
左側に「今日あったこと(事実)」
右側に「自分の頭の中で浮かんでいる解釈・想像」
をそれぞれ書いていきます。
例)
左(事実)
- 会議で、自分が意見を言ったとき、上司が少し黙った
- そのあと、「なるほどね」と一言言っていた
- 会議後、特に何も言われていない
- メールやチャットは普段どおり来ている
右(想像)
- あの沈黙は、「何言ってるんだこいつ」だった気がする
- 「また余計なことを言った」と思われたかもしれない
- 次の評価でマイナスされるのでは
- みんなも「やらかしたな」と思っているかも
実際に書き分けてみると、
自分が苦しくなっていたのは、「事実」よりも「想像」のほうだった
と気づけることがあります。
それだけで、「ああ、私の頭の中の想像が、今は暴走し気味なんだな」と、
一歩引いて眺められるようになっていきます。
ここでも、
想像を消したり否定したりする必要はありません。
ただ、事実と想像を別々の場所に置く ことで、
頭の中のごちゃごちゃが、少しずつ整っていきます。
ステップ3:「最悪のシナリオ」と「現実的なシナリオ」を書いてみる
「どう思われたか」が気になって仕方ないとき、
私たちは頭の中で、ほぼいつも
「最悪のシナリオ」
を描いています。
- きっと嫌われたに違いない
- あの一言で関係性が終わったかもしれない
- もう信頼を回復できないかもしれない
そこで、一度あえて、ノートにこう書いてみます。
1行目:
「最悪のシナリオ」
と書いて、箇条書きで、頭に浮かんでいる「最悪」を全部出してみる。
そのあと、2行目に
「現実的にありそうなシナリオ」
と書いて、
- たぶん、上司はそこまで深く考えてない
- 少なくとも、何も言われていない
- 次に同じような場面が来たときに、フォローすればいいだけかもしれない
- ミスだったとしても、それだけで全部の評価が終わるわけではない
など、「今の情報から冷静に考えると、起こりそうな出来事」を書いていきます。
書いてみると分かるのは、
頭の中で自動再生されていたのは「最悪」のほうであって、
「現実的なほう」はまだちゃんと考えていなかった
ということ。
一度紙の上に「最悪」と「現実」を並べることで、
少しだけ冷静な視点が戻ってきます。
ステップ4:「もし友だちに同じ相談をされたら」と書いてみる
自分のことになると、
人はとたんに厳しくなりがちです。
- あんなこと言うなんてサイテーだ
- 自業自得だ
- もう挽回できないかも
でも、もし同じ状況で悩んでいるのが、
信頼している友だちだったとしたら、どうでしょうか。
その友だちに、どんな言葉をかけるだろう?
そう自分に問いかけながら、ノートに書いてみます。
「もし◯◯が同じことで悩んでいたら、私はこう言うと思う」
と書き出して、その後に続けていきます。
例:
「たしかに、あの場面は気になるよね。
でも、それだけで全部ダメになることはないと思うよ。
もし気になるなら、次会ったときに『さっきの言い方きつくなかったですかね?』って、軽く確認してみてもいいかも。」
「今は不安かもしれないけど、◯◯はちゃんと周りのことを考えられる人だから、大丈夫だと思うよ」
書いている途中で、ふと気づいてくることがあります。
「あれ、これ自分に言ってあげてもいい言葉かもしれない」
自分自身に向けるには照れくさい言葉も、
“友だち宛て”という形なら出てきやすくなります。
その言葉を、そのまま自分へのメッセージとして受け取ってみてもいいし、
「そう思ってくれる人がいる可能性」だけでも、少し心がゆるみます。
ステップ5:明日の自分にバトンを渡す
ノートを書きながら、「今夜の自分にできること」は、だんだん限られているのが見えてきます。
- 相手がどう思ったかを今考えても、確かめようがない
- 「やっちゃったな」と思う部分は、時間は巻き戻せない
- 夜中にメッセージを送っても、余計にこじれる可能性もある
そんなときは、「明日の自分」にバトンを渡す一言 をノートに書いておきます。
たとえば、
「明日の自分へ
まだ気になっていたら、◯◯さんに『さっきの言い方、きつくなかったですか?もし嫌な気持ちにさせていたらごめんなさい』って、短く伝えてみてほしい。」
「明日の自分へ
今日はもう考えすぎて疲れたから、ひとまず寝よう。
起きてまだ気になったら、上司の表情をもう一度よく観察してみて。」
「明日の自分へ
今日の不安は、いったんここに預けます。
必要だったら、明日読み返してもいいし、このまま忘れても大丈夫。」
こうして書いておくと、
「今すぐ答えを出さなくてもいい」
「今は眠る側の自分にバトンを渡していい」
という感覚が少しだけ生まれます。
ノートのページを閉じる動作が、
「考える時間はここまで」という、
やさしい区切りの合図にもなります。
眠れない夜に使える「3つの簡単フォーマット」
ここまでの内容を、
「今夜すぐに使える形」にまとめると、
次の3つのフォーマットになります。
全部やる必要はなくて、
「これは楽そう」と感じたものをひとつ選ぶだけで十分です。
フォーマット1:3行日記ならぬ「3行ぐるぐるメモ」
ノートに、たった3行だけ書く方法です。
1行目:今日気になっている出来事
2行目:それについて、自分がいちばん不安に思っていること
3行目:明日の自分に託したい一言
例:
1行目:会議で話した内容、上司にどう思われたか気になっている
2行目:評価が下がったんじゃないか、と不安になっている
3行目:明日、様子を見て、本当にまずそうならフォローの一言を伝えよう
3行しかないので、
「長く書かなきゃ」というプレッシャーもありません。
フォーマット2:「事実」と「想像」を2分で書き分ける
ページを縦に線で半分に分けて、
左:事実
右:想像
を、2分だけ書き出します。
タイマーを2分にセットして、鳴ったらそこでペンを置いてOK。
例:
左(事実)
- 仕事の後輩に「ここはこうしたほうがいいよ」と言った
- 後輩は「はい」と言っていた
- そのあと、特に話していない
右(想像)
- 内心では「うるさいな」と思われたかもしれない
- これから避けられるかも
- 私のことが嫌いになったかもしれない
「右側が多いな」と思ったら、
「今は想像が多めなんだな」と気づくだけでもOK。
フォーマット3:友だち宛てメッセージ方式
ノートの最初に、こう書いてみます。
「もし◯◯(友だちの名前)が同じことで悩んでいたら、私はこう言うと思う:」
そのあと、
実際にその友だちにLINEするとしたら…と想像しながら、
一気に書いてみます。
書き終わったら、
- そのメッセージを自分に向けてもいい
- 「こんなふうに言ってあげられるくらいには、私は状況を分かってるんだな」と感じるだけでもいい
自分に厳しくなりすぎる夜に、
少しだけ視点を外に向けてみる方法です。
「ノートに書いても眠れない夜」にどう向き合うか
ここまで色々書いてきましたが、
正直なところ、ノートに書いたからといって、
- その夜にスパッと眠れるとは限らない
- 不安がゼロになるとは限らない
というのも、現実です。
それでもなお、ノートを書いてみる意味は、こんなところにあります。
- 頭の中で抱えているものを、ひとりで持ち続けなくてよくなる
- 「私は今、不安なんだな」と自分の状態を言葉で認められる
- 「今は結論を出せないこともある」と分かるだけで、少し力が抜ける
眠れない夜が続くときは、
ノートに加えて、
- ホットアイマスクや温かい飲み物で体をゆるめる
- スマホの光を早めに切る
- 「眠らなきゃ」と自分にプレッシャーをかけすぎない
といった、からだ側の工夫も組み合わせてみてください。
ノートは「魔法の道具」ではないけれど、
自分の頭と心を、少しだけラクな位置に戻すための、小さな支え になってくれます。
おわりに:眠れない夜に、ノートがそばにいてくれるということ
「どう思われたか」が気になって眠れない夜。
その背景には、
- 人を大事にしたい
- 関係を壊したくない
- できれば、ちゃんとしていたい
という、あなたのまじめさや優しさがあります。
その優しさは、決して悪いものではありません。
ただ、夜中の静かな時間の中では、
その優しさが「自分いじめ」に変わってしまうことがある。
そんなときに、ノートは、
「ちょっとここに置いておきなよ」
と、不安やぐるぐるを預かってくれる場所になります。
- きれいに書かなくていい
- 正しいことを書かなくていい
- 書き終わったあと、読み返さなくてもいい
ただ、「今の自分」を、できるだけそのまま文字にしてあげること。
今夜、もしまた布団の中で頭が騒がしくなったら、
全部を解決しようとせずに、
ここで紹介したどれかひとつだけ、試してみてください。
「今日の私は、ここまで考えて、ここまで不安だったんだな」
そうノートに残してページを閉じる。
それだけでも、
あなたはひとつ、自分を大切に扱う行動をしたことになります。
眠れる夜も、眠れない夜も、
そのノートが静かにそばにいてくれますように。

