同期とのごはんの席や飲み会、あるいはふとした雑談の中で。
「うちの会社さ、ようやく年収○○万超えてさ」「ボーナスで○ヶ月出たんだよね」
そんな一言から、「あ、けっこう差がついてきてるかも……」と感じる瞬間があります。
その場では笑って聞き流していても、帰り道や家に帰ってから、
じわじわといろんな気持ちが湧いてくることもあるかもしれません。
- 同じタイミングで社会人になったはずなのに、どうしてここまで差がついたんだろう
- 自分の選んできたルートは、間違いだったんじゃないか
- このまま何もしなかったら、一生取り返せないのかもしれない
そんな不安や焦りが重なると、
「お金」と「キャリア」のことを考えるのが、少し怖くなってしまうこともあります。
この記事では、「同期と年収差がついてきた」と感じたときに、お金とキャリアを現実的にどう扱っていくかを、いくつかの視点から整理していきます。
- 感情の整理
- 数字の見方の整理
- 「自分にとっていくらあればいいのか」という土台づくり
- 年収を上げるために、自分でコントロールできる範囲
- 同期との比べ方、距離の取り方
どれも、一気に全部やる必要はありません。
読んでいて「これは使えそうだな」と思うところだけ、すくい取るような気持ちで読んでもらえたら嬉しいです。
「年収差がついてきた」と感じたときに、心の中で起きていること
まずは、数字の話の前に、感情のほうを少しだけ見てみます。
同期と自分の年収差を意識したとき、多くの場合、こんな気持ちが混ざります。
- 焦り:「このままじゃマズいかもしれない」と感じる
- 悔しさ:「自分だって頑張っているのに」と思う
- 恥ずかしさ:「自分の年収を知られるのがなんとなく嫌だ」
- 劣等感:「自分の価値が、数字の差の分だけ低い気がしてしまう」
- 不安:「今はまだいいけれど、将来もっと差がつくのでは」
これらが全部、「年収が低い自分が悪い」「努力が足りない」といった自己否定へ、ひとまとめにされてしまいやすいのがしんどさの正体です。
でも、本当は少し違います。
同期の年収を知ってしまったことで、
自分の選んできた道や、
これからの人生のペースについて、
一気に“見直しを迫られた”ような気持ちになっている
という側面も大きいのだと思います。
数字の差そのものよりも、
「このままでいいのか?」という問いが急に目の前に現れたとき、
人は不安や焦りを強く感じやすくなります。
だからまずは、心の中でこう小さくつぶやいてみてほしいのです。
「焦るのも、比べてしまうのも、
この状況なら自然な反応なんだよな」
感情を「間違ったもの」として押さえつけるのではなく、
「そう感じてしまうよね」と一度受け止めたうえで、
そこから数字や現実の話に移っていきます。
年収の「数字」だけで比べると、ほぼ確実に苦しくなる
同期の年収を聞いたとき、つい単純に
- 自分:○○万円
- 相手:○○万円
という「額面の差」だけで比べてしまいがちです。
でも、年収は本来、いくつもの要素が絡み合って決まっています。
- 業界・職種(IT、金融、メーカー、福祉、教育…)
- 勤務地(地方か首都圏か、海外か)
- 会社の規模・利益率
- 転職経験の有無・回数
- 残業代がどこまで含まれているか
- インセンティブ・歩合給の割合
- ボーナスの変動の大きさ
- ストックオプションや株式などの有無
極端な例を出せば、
- 年収は高いけれど、月の残業が常に100時間近い
- 高給だけれど成果主義が徹底していて、常に数字のプレッシャーが強い
- 逆に年収はそこまで高くないけれど、残業ほぼゼロで家族との時間が十分に取れる
など、「数字」だけでは分からない部分がたくさんあります。
また、同期が年収を言うとき、
- 税込みの額(額面)か
- 手取りベースか
- ボーナス込み年間トータルか
- 一時的なインセンティブが乗った年か
によっても印象は変わります。
ここで大事なのは、
「数字だけを切り取って、自分の価値そのものと結びつけない」
ということです。
もちろん、年収は大事な指標です。
生活にも直結しますし、将来の不安にも絡みます。
だからこそ、「数字そのもの」ではなく、
- その年収がどんな働き方と引き換えなのか
- 自分は同じ条件を望むのかどうか
までセットで見てみる必要があります。
自分の「生活上のライン」を知る:いくらあれば“足りる”のか
年収差にモヤモヤしているときほど、
「自分にとっていくらあれば十分なのか」が曖昧なことが多いです。
ここをはっきりさせておくと、不安の輪郭が少し見えてきます。
1. 今の生活に“最低限必要なお金”をざっくり出してみる
- 家賃(住宅ローンを含む)
- 光熱費・通信費
- 食費
- 交通費
- 保険・サブスクなどの毎月の固定費
- ざっくりとした日用品・交際費
これを一度紙に書き出して、
月にいくらくらいあれば「今の生活はだいたい保てるのか」をざっくり出してみます。
さらに、
- 年に何回くらい旅行に行きたいか
- どのくらいのペースで服や家電を買い替えたいか
- 趣味に月いくらくらい使いたいか
といった「あると嬉しい費用」も足していくと、
自分にとっての「必要ライン」が見えてきます。
2. 安心していられる“貯金ライン”も考えてみる
- 毎月いくらくらい貯金できていると、心が落ち着くか
- 1年でいくら貯められていると、「大きな出費があっても何とかなる」と思えそうか
ここもざっくりで大丈夫です。
「このくらいあれば、今よりは気持ちがラクになりそうだな」という感覚をつかむのが目的です。
この作業をすると、
「同期の年収」と
「自分にとって必要な金額」
を切り離して考えやすくなります。
もし、
- 今の年収でも、生活は何とか成り立っている
- 貯金額は多くはないけれど、ゼロではない
- 多少の余裕はある
のであれば、
「今すぐに追いつかなきゃ終わり」という状況ではない
と確認できます。
逆に、
- 生活費だけでほぼ消えてしまう
- 毎月赤字ぎりぎりで、不測の出費が怖い
- 将来を考えたとき、さすがに少し不安が大きすぎる
のであれば、
「同期の年収」とは別に、
「自分の生活の安全ライン」という意味で、
収入を上げる必要があるかもしれない
と見えてきます。
「誰かと比べて低いから上げたい」のか、
「自分の生活の安全性のために上げたい」のか。
ここを分けて考えられると、
焦りだけに振り回されずにすみます。
年収を“ゲームのスコア”にしすぎないための視点
年収は、比較しやすい数字です。
だからこそ、ゲームのスコアのように扱ってしまいやすいのですが、
人生全体を見たときには、こんな視点もあります。
- 年収が高いほど、時間の自由は減っていないか
- 精神的プレッシャーはどうか(常に数字に追われている/責任の重さ)
- 健康への影響はどうか(長時間労働・ストレス)
- 家族との時間・自分の時間が、どれくらい取れているか
- 将来のキャリアの柔軟性はどうか(潰しが効くスキルかどうか)
もし、同期が高年収を得ている背景に、
- 超長時間労働
- 高い離職率
- 常に競争にさらされる環境
があるとしたら、それは「差がついていて羨ましい」と一言では片付けられません。
逆に、自分の今の働き方が、
- ある程度残業もありつつ、身体を壊すほどではない
- 仕事以外に使える時間やエネルギーがまだ残っている
- 将来的に横にキャリアチェンジしやすいスキルが身についている
のであれば、それは**“今は年収には反映されていないけれど、ちゃんと価値のある状態”**ともいえます。
年収は、「今この瞬間の金額」
働き方やスキルは、「これからも使える土台」
どちらも大事ですが、
「今だけの数字」と「これからの蓄え」を、少し分けて見てみることで、
自分が何を優先したいのかが見えやすくなります。
それでも「収入を増やしたい」と思ったときに、できること
ここまでの整理をしたうえで、
それでも
- 将来のために、今より少し年収を上げておきたい
- 同期と比べて…というより、生活と貯金のためにもう少し欲しい
と感じるなら、**「自分でコントロールできる範囲」**に集中していきます。
1. 今の会社の中でできることを洗い出す
- 昇給・昇進のルールを確認する(評価シート・人事制度など)
- 自分の職種で、年収が上がりやすいパターンを探る
(例:マネジメントに進む/専門職として昇格する/営業寄りのポジションに行くなど) - 上司との1on1や面談で、「どこを伸ばせば年収アップにつながるか」を具体的に聞いてみる
ここで、「上司からどう見えているか」「何が評価されるか」を知ることは、
むやみに頑張るよりずっと効率的です。
2. 転職の“準備”を始める(いきなり動かなくてもいい)
いきなり転職する必要はありませんが、
- 転職サイトやエージェントで、自分のスキル・年齢・業界での相場を知る
- 求人票を眺めて、「年収○○万円帯の求人が求めているスキルや経験」を把握する
- 今の経験のどこが「市場で評価されるポイント」になりそうかを整理してみる
こうした情報を持っておくだけでも、
「今の会社でこのまま頑張る意味」
「外に出たときに、どれくらいの年収レンジを狙えそうか」
が見えてきます。
「今の会社に縛られている」のではなく、
**「今はここを選んでいる」**という感覚を持てると、
同期との比較に振り回されにくくなります。
3. 小さく副業・複業の可能性を考えてみる
会社の規定や働き方にもよりますが、
- いきなり大きな副業ではなく、月数万円レベルの収入源を試してみる
- 自分の得意なこと・経験を、小さくお金にしてみる(スキルシェア・単発案件など)
こうした動き方も、「お金」と「キャリア」の両方を考えるうえで役立ちます。
- 「会社以外にも収入の柱がある」という安心感
- 将来的に独立・フリーランスの可能性を広げる準備
- 本業との相乗効果(本業での価値が高まるスキルを身につける)
ただし、副業は時間と体力も使います。
**「生活を壊さないライン」**を決めながら、小さく試していくのが現実的です。
同期と「年収」の話をするときの距離の取り方
同期との付き合いは、大事なものです。
でも、年収の話が出るたびに自分を削ってしまうなら、
距離の取り方も少し工夫してみてもいいかもしれません。
1. 「詳しく聞き過ぎない」という選択肢
- 「ボーナスどのくらいだった?」など、つい根掘り葉掘り聞いてしまうと、後で自分が苦しくなることもあります。
- ほどほどのところで話題を変えたり、「ふーん、そうなんだ」くらいで深追いしないのも、自分を守るひとつの方法です。
2. 比べるなら「数字」ではなく「背景」を
もし話を聞くのであれば、
- どういう経緯でその会社・ポジションにたどり着いたのか
- どんな働き方をしているのか(残業・ストレス・責任の重さなど)
- 将来どうしたいと思っているのか
といった「背景」に目を向けてみると、
単純な勝ち負けではなく、
**「それぞれの選んできた道」**として見やすくなります。
3. 自分の感情が動き過ぎる相手とは、話すテーマを変えてもいい
どうしても、
- その人と話すと、自分の年収やキャリアがしんどくなる
- 毎回マウント合戦のようになってしまう
という相手がいる場合は、
- 話題を仕事以外にずらす
- 年収や出世の話になりそうなときは、軽く流してあまり深く入り込まない
- 必要なら、会う頻度そのものを少し減らす
など、「自分の心を守る距離感」を取ることも大事です。
おわりに──「同期との差」ではなく「自分のペース」と向き合っていく
「同期と年収差がついてきた」と感じたとき、
真面目な人ほど、自分を責めがちです。
- もっと頑張るべきだったのか
- 転職しておくべきだったのか
- 自分には価値がないのではないか
でも本当は、
- 選んだ業界や働き方の違い
- 会社の構造や評価の仕組み
- そのときどきのタイミングや運
など、個人の努力だけではどうにもならない要素も、たくさん混ざっています。
この記事で見てきたように、
- 年収の数字だけでなく、「働き方」「時間」「健康」「将来の可能性」も含めて見ること
- 自分の生活に必要なラインと、安心できる貯金ラインをざっくり把握すること
- 今の会社の中でできること・転職や副業という選択肢を“準備”から考えてみること
- 同期との距離や比べ方を、自分がしんどくなりすぎない範囲に調整すること
こうした一つひとつの積み重ねが、
「年収差」という言葉に飲み込まれないための土台になってくれます。
すぐに数字が追いつくわけでも、
一晩で不安が消えるわけでもありません。
それでも、
「誰かと比べて足りない自分」から、
「自分なりのペースで、お金とキャリアを整えていこうとしている自分」
へと、少しずつ視点をずらしていくことはできます。
焦る気持ちや、比べてしまう自分を否定せずに抱えながら、
その中で「じゃあ、自分はどうしていきたいかな」と静かに考えてみる。
そんな時間を、自分に少しだけ許してあげられますように。

