「やることは山ほどあるのに、何から手をつければいいか分からない。」
「今日はもう考えるのに疲れたのに、布団に入るとまた頭の中で仕事や予定のリストが始まる。」
そんなふうに、頭の中がいつもフル稼働している感覚が続くと、実際のタスクの量以上に「忙しさ」に追い込まれてしまいます。
この記事では、「頭の中がいつも忙しい」という状態から少しずつ離れていくための、現実的なタスク整理のやり方をまとめます。
ポイントは、
- 根性で頑張って整理するのではなく、
- 「頭だけで持たない仕組み」を増やしていくこと
- 自分の脳の使い方を、やさしい設定に変えていくこと
です。
なぜ「やることの多さ」より「頭の忙しさ」がしんどくなるのか
まず、しんどさの正体を少し言葉にしてみます。
頭の中がいつも忙しくなってしまうとき、起きているのはだいたいこんなことです。
- やること・頼まれごと・締切が、頭の中でぐるぐる回っている
- 「あれもやらなきゃ」「これも忘れそう」が同時に存在している
- 実際には手を動かしていない時間でも、脳だけ働き続けている
- 「いつかやりたい」「気になっている」ことまで、同じ場所に押し込まれている
ここで重要なのは、「タスクの量」と「頭の忙しさ」はイコールではないということです。
タスクが多くても、
- どこかに「全部一覧」があり
- 今やるのはこの2〜3個だけ、と決まっていて
- それ以外は一旦置いておけている
状態なら、そこまで苦しくありません。
逆に、タスクがそこまで多くなくても、
- 全部が頭の中のバラバラな場所に保管されていて
- 「忘れないようにしなきゃ」と何度も思い出してしまい
- それを一人で管理しようとしている
状態だと、脳がずっと「タスク管理アプリ」になってしまうのです。
この記事で目指したいのは、
「脳=考えるところ」
「タスクを覚えておくのは“外側”に任せる」
という役割分担に、ゆっくり切り替えていくことです。
まずは「頭の中の全部出し」をする:完璧より「雑さ」を優先する
タスク整理術でいちばん最初にやりたいのは、
頭の中にあるものを、いったん全部外に出してしまうことです。
ノートでもメモアプリでも、何でも大丈夫です。
1ページ(1画面)をまるごと使うつもりで、とにかく書き出します。
書き出すときのルール
- 思いついた順でいい
- ジャンルも期限もバラバラでいい
- 大きなことも小さなことも混ぜていい
- 人から見たらくだらないようなことも、そのまま書く
たとえば、こんな感じです。
- 来週の打ち合わせ資料を作る
- ○○さんにメール返信
- 家賃の引き落とし確認
- 歯医者の予約
- 冬物コートをクリーニングに出したい
- ○○の請求書を経理に出す
- 机の上の書類を片づけたい
- ○○プロジェクトの進め方を考える時間を取りたい
- 実家に近況連絡をしたい
- 健康診断、そろそろ申し込まなきゃ
- ○○さんに言われた一言がまだ気になっている
- 将来のキャリア、ちゃんと考えたい気がしている
ここで大事なのは、「タスクっぽいかどうか」を気にしすぎないことです。
頭の中を占有しているものは、全部一度“外に追い出す”
くらいの感覚で、「頭→紙(orアプリ)」に移してしまいます。
これをやるだけでも、
「覚えておかなきゃ」という負荷が少し軽くなります。
頭の中にあった“ごちゃごちゃした箱”が、一度テーブルの上に全部出されたイメージです。
「やること」「気になっていること」「心配ごと」にざっくり分ける
次のステップは、書き出したものをざっくり分類することです。
細かくやる必要はありません。
3つのラベルを用意します。
- A:具体的に「行動」にできるもの(今やること・近いうちにやること)
- B:今すぐ行動にはできないけれど、気になっていること(モヤモヤ・テーマ)
- C:考えても仕方ない不安・心配ごと(未来のif・コントロールできないこと)
さっきの例でいうと、
A(行動タスク)
- 来週の打ち合わせ資料を作る
- ○○さんにメール返信
- 家賃の引き落とし確認
- 歯医者の予約
- ○○の請求書を経理に出す
- 机の上の書類を片づけたい
- 冬物コートをクリーニングに出したい
B(気になっているテーマ)
- ○○プロジェクトの進め方を考える時間を取りたい
- 実家に近況連絡をしたい
- 将来のキャリア、ちゃんと考えたい気がしている
C(心配ごと・感情)
- ○○さんに言われた一言がまだ気になっている
- 「このままの働き方でいいのか」という漠然とした不安
- もし仕事で大きなミスをしたら…という妄想
ここでのポイントは、
「全部同じ“タスク”として扱おうとしない」
ことです。
AとBとCは、本来性質が違います。
- Aは、「やり方さえ決めれば動かせるもの」
- Bは、「考える時間・方針が必要なもの」
- Cは、「考えても答えが出ない不安・感情」
なのに、全部を「やらなきゃリスト」にしてしまうから、
頭がずっと忙しくなります。
タスク整理で大事なのは、
「これはAっぽいな」「これはBかCだな」と分けて見ること自体です。
そうすると、「今するべきでないこと」を少し横に置けるようになってきます。
「A:行動タスク」をさらに小さくしていく
整理術の中心になるのは、Aの「行動タスク」です。
ここからは、Aだけに注目していきます。
Aリストを眺めてみると、
- すぐ終わりそうなもの
- 30分〜1時間かかりそうなもの
- そもそも何から手をつけていいか分からないもの
が混ざっているはずです。
ここでやりたいのは、「次の一歩」がはっきりするサイズにまで小さくすることです。
例:大きめのタスクを分解する
「来週の打ち合わせ資料を作る」というタスク。
これだけだと漠然としすぎていて、
頭の中で「どうしよう、何から手をつければ」と堂々巡りになりがちです。
これを、こう分解してみます。
- ○○プロジェクトの資料フォルダを開く
- 前回の打ち合わせメモを読む
- 資料の構成案をざっくり3つ考えてみる
- 構成案のうち1つにしぼる
- スライドのたたき台を作る
ここまで分けてみると、
「今やること」は「フォルダを開く」とか「メモを読む」に変わります。
“仕事”としては同じでも、
脳が感じるハードルはかなり下がります。
タスク整理の目的は、
「先が見えない大きなかたまり」を、
「すぐ始められる小さなステップ」に変えること
です。
これをAリストの中で、
“重そうなもの”に対してだけでもやってみます。
全部にやらなくて構いません。
「今日やるA」と「今週でいいA」を分ける
Aリストの中には、
- 今日中にやったほうがいいもの
- 今週のどこかでやればいいもの
- 締切前に一度手をつけておきたいもの
が混ざっています。
これも頭の中で抱えたままだと、
「全部今日やらなきゃいけない気がする」というプレッシャーになります。
そこで、Aリストからさらに2つに分けます。
- 「今日A」:今日の自分のエネルギーでも現実的にできそうなもの(3〜5個くらい)
- 「今週A」:今日じゃなくていいけれど、今週中には手をつけたいもの
「今日A」を選ぶときの目安は、
「理想の自分ではなく、“今日の自分”ができそうな量か?」
です。
疲れているのに、理想のスケジュールを組むと、
「またできなかった」という自己嫌悪の種になります。
- 1日で大きなことを1つ
- 小さなタスクを2〜3個
くらいから始めてみるのが、現実的なスタートラインです。
「今週A」は、手帳やカレンダー、タスク管理アプリなどに移しておきます。
今日は見なくてOKです。
「B:気になっているテーマ」は、メモと“時間枠”に分けてしまう
次にB、「気になっているテーマ」に目を向けます。
- キャリアのこと
- プロジェクトの今後の進め方
- 親との付き合い方
- お金の管理
こういったものは「考えること」そのものがタスクですが、
Aと同じ扱いにすると、いつまでも終わらない感じがして、脳を占拠し続けます。
ここでのポイントは、
「今すぐ結論を出す」のではなく、
「考える時間を予定にしてしまう」
ことです。
たとえば、
- 「キャリアについて考えたい」 → 来週のどこかで30分、「キャリアメモを書く時間」を予定に入れる
- 「○○プロジェクトの進め方」 → 木曜の午前中に、「1人で方向性を整理する30分」を確保する
- 「お金のこと」 → 月末の夜に、「家計をざっくり見直す時間」を予定にする
これで、Bは「モヤモヤの塊」から、
- 日付の入った予定
- 「考える時間」という具体的な枠
に変わります。
頭の中ではなく、
手帳やカレンダーの中に居場所を移してあげるイメージです。
「C:心配ごと」は、“タスク化しない”と決める
最後にC、「心配ごと・感情」です。
- もしクビになったらどうしよう
- あのときの言葉で嫌われたかもしれない
- このまま歳だけとって何者にもなれなかったらどうしよう
これらは、
「今ここで考えても、具体的な一歩に変えづらいもの」
です。
ここでやってしまいがちなのは、
CをAに無理やり変えようとしてしまうこと。
- 「不安だから、とりあえず情報を検索しまくる」
- 「嫌われたくないから、相手の反応を観察し続ける」
- 「将来が不安だから、今すぐ完璧な答えを出そうとする」
これをやると、
頭の中の「忙しさ」はむしろ増えていきます。
Cに対しては、あえてこう決めてみます。
「これは“今はタスクにしない領域”」
もちろん、
CからAに変えられるものもあります。
- 「もし本当に職場がつらいなら、一度だけ転職エージェントに相談してみる」
- 「嫌われたかもが気になるなら、『さっきは言い方きつかったかも、ごめんね』と一言伝えてみる」
など、具体的な行動に落ちるものもあるでしょう。
でも、それ以外の「堂々巡りの不安」は、
- ノートにそのまま書き出して
- 「今はここまで考えてみた」と区切りをつける
ことまでで、一旦終わりにしてかまいません。
CをAにしすぎないことも、
頭の中の忙しさを減らす大事なポイントです。
「頭の中で管理しない」ためのメモの持ち方
タスク整理が続きにくいのは、
- 最初だけきれいに整理して終わってしまう
- 日々の「新しいタスク」が、また頭の中にどんどん積もっていく
からです。
そこで、「頭の中に入ってきたものを、一時的に泊める場所」を固定しておくと、かなりラクになります。
1つだけ「インボックス」を決める
- メモ帳
- ノート
- 手帳の1ページ
- スマホのメモアプリ(1つのノートだけ)
どれでもいいので、
「新しいタスクや気になることは、とりあえずここに書く」
という場所を1つだけ決めます。
- 打ち合わせ中に出てきたTODO
- ふとしたときに思い出した「あれやらなきゃ」
- 家でふと気づいた「これ買っておきたい」
これらを全部、そこに入れていきます。
1日に1回、インボックスを「仕分け」する
インボックスを見返すタイミングを、
- 朝一番
- 仕事終わり
- 家に帰ってからの数分
など、どこか1か所に決めておきます。
その時間にやることは、
- AかBかCに分ける
- Aの中から「今日A」「今週A」に移す
- B・Cは必要であればノートや別ページに移動する
これだけです。
インボックスは、「溜める場所」であり「整理する場所」ではありません。
- 書く瞬間は何も考えず
- 見返す時間にだけ、少し考える
この切り替えができると、
「全部をリアルタイムで整理しようとして疲れる」ことが減っていきます。
「やることの量」より「同時進行の数」を減らす
頭の中が忙しいとき、
タスクの総数だけでなく、同時進行しようとしている数も多くなりがちです。
- メールを返しながら、別の資料のことを考え
- それをやっている途中で、さらに別件が浮かび
- どれも中途半端なまま、頭の中で「未完了のタブ」が増えていく
これが続くと、
実際の進捗よりも「終わっていないもの」の印象が強くなり、
さらに頭のざわざわ感が増えます。
ここで意識したいのは、
「同時にちゃんとできるタスクは、多くても2〜3個まで」
ということです。
自分の中で、ざっくりと「同時進行の上限」を決めてみます。
- 「仕事中の大きめタスクは、最大2つまで」
- 「それ以外は、今日Aに入れない」
- 「どうしても増えたら、終わった瞬間にどれかを“完了リスト”に移す」
「完了リスト」は、
- 小さな達成感を感じるため
- 「何も終わってないわけではない」と視覚的に実感するため
の役割もあります。
頭の中だけで「終わったかどうか」を管理していると、
完了したタスクはすぐ忘れてしまい、
「まだ終わっていないもの」だけが残り続けます。
終わったものにチェックをつけたり、線を引いたり、
別リストに移したりして、あえて「終わった」を見える化してあげると、
忙しさの感覚は少しずつ変わっていきます。
「情報の入口」を減らすことも、立派なタスク整理
頭が忙しい理由のひとつに、
**「情報の流入量そのものが多すぎる」**という問題もあります。
- SNSで常にタイムラインを追う
- ニュースサイトやまとめ記事を、スキマ時間に何度も見る
- メールやチャットの通知をオンにしたままにする
- 何か不安があるたびに、検索し続けてしまう
これらはすべて、「頭の中の部屋」に情報をどんどん入れてくる行為です。
タスク整理と並行して、
「情報の入口を絞る」ことも、実はかなり効きます。
たとえば、
- 通知を「重要なアプリだけ」にする
- SNSを見る時間帯を決める(通勤中だけ・寝る前は見ない 等)
- ニュースは1日1回、信頼しているメディアだけにする
- 不安になったときの「検索」は、一旦ノートに書いてから、時間を決めて調べる
これも立派な「タスク整理」です。
- 「やるべきこと」の量
だけでなく、 - 「考える材料・判断する情報」の量
を調整していくこと。
頭の中がいつも忙しいときは、
「片づけ」と同じくらい「これ以上、増やさない工夫」も重要になってきます。
おわりに──「頭の中が静かになる」ことを、ひとつのゴールにしてみる
「頭の中がいつも忙しい」状態を手放すことは、
単に効率化のテクニックを身につけることではありません。
- 自分の脳に、背負わせすぎていた役割を下ろしてあげる
- 「覚えておく」「管理しておく」仕事を、紙やアプリに分担していく
- 「今は考えなくていいもの」を見分ける力を育てる
そんなプロセスでもあります。
今日の記事で書いてきたのは、
- 頭の中の全部出しをすること
- 「行動タスク」「気になるテーマ」「心配ごと」にざっくり分けること
- 行動タスクを小さくして、「今日A」「今週A」に分けること
- テーマは「考える時間」として予定にしてしまうこと
- 心配ごとは、無理にタスク化しないこと
- インボックスをひとつ決めて、1日1回だけ仕分けすること
- 同時進行の数を意識的に減らすこと
- 情報の入口を少し絞ってみること
といった、小さな整理の積み重ねでした。
全部を一気に取り入れる必要はありません。
むしろ、
「これならやれそう」と感じるものを、
ひとつだけ選んで、数日〜1週間試してみる
くらいのペースで十分です。
頭の中が少し静かになると、
同じタスク量でも、感じる重さは変わってきます。
- 何となく一日中追われている感覚
- 布団に入ってからも、仕事や予定が頭の中で回り続ける感じ
こうしたものが、少しずつ弱まっていくと、
「やるべきこと」との距離感も変わっていきます。
タスクをこなすためだけでなく、
自分の毎日を少し軽くするためのタスク整理。
そのためのヒントの中から、
今の自分に合いそうなものが、何かひとつでも見つかっていたらうれしいです。

